開催日
2024年3月20日(水・祝)
開催地
甲南へらの池
競技時間
(第一試合)7:00~10:00 (第ニ試合)11:00~13:00
参加選手
55組110名
審査方法
ペア2名の総重量にて順位を決定
55組110名が甲南へらの池で競う。
稀に見る荒天の中、大接戦を制したのは初参加のこのペア!
荒天、甲南へらの池
令和6年度がまかつへらぶなチーム対抗戦 西日本大会が、3月20日(水・祝)、滋賀県甲賀市「甲南へらの池」にて55組110名を集めて開催された。ペア戦ならではの楽しさ、駆け引きがあり、今年も100名を超えるへらぶな師たちが参加した。非常に魚影の濃いフィールドとして関西地方では馴染み深い甲南へらの池。釣り方も様々で、定番の浅いタナ&チョーチンのセット釣り、沖目狙い、段差の底釣りと、様々な狙い方で釣り人を楽しませている。ただ今年は3月に入ってからの天候不順もあり、全般的にやや食い渋り傾向。審査委員長を務めたがまかつインストラクターの上村恭生氏によれば、「短竿での浅ダナセットは厳しく、振れるなら15尺を出したほうがアタリ数が全然違う。釣り方的にはまだまだ冬の延長で、チョーチンや段底のほうが強いのではないか。特に底釣り系はエリアによっては超大型の新べらも揃うので、今年は今までで一番、的を絞りづらい大会と言える」と話した。
さて、大会当日は夜半より雨が降り始め、受付開始の6時には一時風雨が強まる荒れ模様となってしまった。急遽、事務所内で受付が開始されると、この大会を待ちに待った選手たちが例年どおり整然と釣座抽選を行い、キャップやタオルといった参加賞を受け取って釣座に入っていく。ここでアクシデントが起きた。ほとんどの選手たちが風雨の中でテントを設置していたのだが、あまりの風の強さにテントを飛ばされる選手がいた。幸い大事に至らず回収できたが、この荒天のなかでの釣座移動は困難かつ危険と判断した上村委員長は、「前半終了時の釣座交代はなし(したがって、後半戦の釣座は無効)。また、後半戦は予定通り開始するが、天候によっては途中で終了の場合あり」という旨を選手たちにアナウンスした。よって大会形式はペア2名による総重量戦で、2号桟橋(レッドエリア)、3号桟橋(ブルーエリア)に分かれ、朝の抽選で引いた釣座に。7時からの前半戦3時間、11時からの後半戦3時間はエリア内で釣座を替え、トータル6時間の競技の予定だったが、今大会に限っては前半終了時の釣り座移動はなし。また、後半戦は繰り上げで終了の可能性ありとなった。
7時、若干弱まった雨と風の中、いよいよ前半戦がスタートする。朝の気温は3度。まして荒天ではさすがに渋いだろうと予想されたが、そこはやはり甲南へらの池。開始直後から早くも竿が立ち始める。スタートダッシュはやはり底釣り系が強く、それもやや長めの竿の立ち上がりが目立つ。それにチョーチンセットが続き、浅ダナ系はやはりスロースタートとなった。前半戦から目立って竿を絞っていたエリアが事務所から見て左奥、3号桟橋手前ヘチの一角。ここは混雑すると食い気のあるへらぶなが溜まりやすい一級エリアであり、特に端から5名くらいまでの選手が明らかに他より目立って竿を絞る。最ヘチに座った山本敏之選手は得意のチョーチンセットが炸裂しており、頻繁なタテサソイからの鋭いアタリをとらえて他を先行していく。
一見するとこの山本選手が独走かと思いきや、さすが、甲南へらの池。しだいに池全体で竿が立ち始める。浅ダナ組もアタリが出始めていて、これは分からなくなってきた。午前10時、予想よりは天候も荒れることなく、無事に3時間の前半戦が終了した。審査役員により、釣座にてすみやかな検量が行われる。全体成績のうち、個人トップはやはり山本選手で、1フラシを満タンにした9.4kg。ペア合計も13.6kgで暫定1位を奪取する。しかし印象よりは大混戦となっており、2位は津川宏&陶山章俊ペアで13.2kgと僅差。3位の藤林哲男&中村秀男ペアも13kgで続いた。
ますます荒天の後半戦
1時間の休憩を経て、同じ釣座で後半戦は11時に無事スタートした。選手が検量を行ったことで、食い渋りは必至。ただ幸いなのは天候が思ったより小康状態を保ってくれ、このままであれば予定どおり14時まで競技が続けられそうな雰囲気も出てきた。後半戦開始直後には雨が止み、なんと頭上に青空も広がる展開に。食い自体はやはり渋めだが、すぐにそこかしこで竿が立ち始め、選手たちの熱気が会場全体を包んでいく。「このまま雨も風もなければいいのに」という願いも虚しく、青空はほどなくして黒い雲に取って代わられ、再び雨が落ち始めた。気温も朝からほとんど上がっておらず、北西の風もまたその強さを増し始める。こうなってくると荒天に弱い浅ダナは不利か?特に「良い」とされていた15尺前後の長めの竿を出していた選手たちは、風によってペースを乱されていく。そんななか、朝から短めの10尺メーターでじっくりとバラケを合わせていた佐竹勝幸選手が崩れず拾い続けていた。そしてペアを組む岩下秀徳選手は堅実な段底で、やはり朝から堅調に絞り続けていたのである。降りしきる雨と風は断続的に弱まりながらも、どんどん激しさを増していき、正午過ぎにはついに視界に白い物が混じり始める。
雪――――――。
季節外れの雪は一気に強まり、まるで真冬の吹雪のような状態に…。竿を振る選手たちからは「まだまだ」の気概も伝わってはきていたが、西日本全体が強風と降雪に見舞われつつあ
ることから、帰りの道中の安全も考慮し、ここで「予定より1時間早く、13時に競技終了」のアナウンスが流れた。ここからの1時間は雪が断続的に降り続けるが、選手たちは「残り1時間!」と集中力を高めたのか、荒天の中でもあちこちで竿が曲がる展開に。へらぶな釣りでは「雪が降っているときは食いが立つ」とも言われるが、まさにそんな展開となって一気にラストまで駆け抜けていった。
2人がともにコンスタントに釣り続ける…。
中京の岩下&佐竹ペアが逆転で初参加、初優勝!
13時、ラストは思わず笑ってしまうくらいの激しい風雪の中で競技終了の合図が鳴り響いた。優勝は、前半戦9位からの大逆転で、最後まで2人ともにコンスタントに釣り続けた岩下秀徳&佐竹勝幸ペアが嬉しい初参加で初優勝を飾った。岩下選手は段底で13.8kgを釣り上げ、全体でもトップクラスの釣果を記録。ペアの佐竹選手はメーターセットでシブい釣りを展開し、6.4kgを釣ってサポート。合計20.2kgで僅差の接戦を制した。第2位は池の真ん中、15尺段底で立ち上がって大型新べらを釣り続けた藤林哲男選手と、11尺段底で良型を拾い続けた中村秀男選手のペア。合計19.8kgでわずかに400グラム届かず悔しい2位となった。第3位は遠く関東から参戦の手塚勝典&奥村達明ペア。ともにチョーチンセットで繊細な釣技が光り、嬉しい3位入賞となった。閉会式は天候に配慮しながら、広い駐車場の一角に設けられたスペースに全選手が集まって盛大に行われた。傘をさしていても濡れてしまうほどの雨風、そして吹雪…と最悪のコンディションにもかかわらず、選手たちは笑顔で閉会式に臨み、最後まで大会を存分に楽しんでいた。上位3名の選手には記念のクリスタル盾と、「がまへら我楽」、「がまへら千早」、「がまへら更紗」といった人気のへら竿、そして「がまかつバリ1年分」等の賞品が贈られた。また、お楽しみ抽選会や前回大会からの新しい試みである「重量あてチャレンジ(受付時に自チームの釣果を予想)」の結果発表も行われ、竿やオリジナルグッズなどの賞品も次々に手渡されていった。閉会式では上村恭生審査委員長より、「次回こそポカポカとした暖かい春の陽気の中で楽しみましょう!」という言葉
を締めに、参加者たちは降りしきる雪のなか笑顔で家路についた。
最終上位結果 ※敬称略
優勝 岩下秀徳&佐竹勝幸 20.2kg
2位 藤林哲男&中村秀男 19.8kg
3位 手塚勝典&奥村達明 19.6kg
4位 岩本龍貴&麻野昌佳 19.2kg
4位 安藤嘉洋&山本敏之 19.2kg
6位 鈴木千秋&南 治孝 17.8kg
7位 森 誠&内田昌良 16.8kg
8位 伊藤雄一&石田慎一郎 16.2kg
8位 大谷貴徳&中村広明 16.2kg
10位 鳥居裕輔&源弘次 15.8kg
10位 近藤健志&前山智孝 15.8kg
20位当日賞 奥川功&川越豊 13.8kg
重量あてチャレンジ ピタリ賞 水杉良正&睦美ペア 15.6kg
《優勝 岩下秀徳 選手》
試釣はせず、荒天予報で冬のような渋い釣りを想定し、得意な段底に狙いを絞りました。狙いどおり、コンスタントにアタリが続き、ポツポツと最後まで釣り続けることが出来ました。バラケは手水で調整し、いったんは深くナジませ、早めに抜けてきて、クワセだけになってからもやや待ってからのアタリが多かったです。ただ待ち過ぎても良くなく、だいたい1分くらい待ってアタらなければ打ち返し、中京の釣り仲間たちに良い報告が出来る。連覇を目指して頑張ります。
- ●竿 がまかつ【がまへら我楽】11尺 段差の底釣り
- ●ハリ 上がまかつ【リフト】6号 下がまかつ【コム】4号
- ●道糸 0.6号 ●ハリス 上0. 4号 下0.25号 10― 50cm
- ●ウキ 仁成作 羽根B10cm PCムク エサ落ち目盛は全11目盛中7目盛出し
- ●バラケ 【粒戦】50cc+【粒戦 細粒】 25cc+【ヤグラ】100cc+【セット専用バラケ】100cc+水110cc
- ●クワセ 【魚信】 水75ccレンジ作り(硬め)
《優勝 佐竹勝幸 選手》
朝釣座に座ったとき、両隣がチョーチンセットだったので、オープンスペースを打てると思い、ダメ元でメーターセットに決めました。前半戦はバラケは持たせ気味が良く、ジワっと1目盛返してズドン…というふうに、まだバラケがついた状態でアタって釣れてきました。休憩を挟んだ後半戦は一気に渋くなり、バラケのナジミ幅をあまり出さない「抜き」の釣りにシフトしました。これでポツポツと拾い続けることが出来ました。初参加で初優勝なので、とても嬉しいです!
- ●竿 がまかつ【がまへら更紗】10尺 メーターウドンセット
- ●ハリ 上がまかつ【サラ】7号 下がまかつ【コム】3号
- ●道糸 0.6号 ●ハリス 上下0.3号 6―55cm
- ●ウキ 天友作 B 5cm 細パイプトップ エサ落ち目盛は全 10目盛中クワセを付けて3目盛出し
- ●バラケ 【粒戦】100cc+【粒戦 細粒】50cc+水200cc+【ヤグラ】100cc+【ふぶき】200cc
- ●クワセ 【力玉】