猪熊博之、
復活スーパープレシードを釣る。
がまかつフィールドテスター・猪熊博之がホームグラウンドに立った。
手にしているのは、ありし日の感動をよみがえらせてくれる伝説の磯竿、スーパープレシード。
復活にかかわった猪熊は万感の思いを込めて第一投を振り込んだ。
特別な存在が復活
発売当時、がま磯のフラッグシップだった「がま磯 プレシード」。そして、数年後にデビューした「がま磯プレシードスペシャル」は、パワーのある先調子だった初代からキャラクターを一変。本格的な胴調子の竿へと生まれ変わる。 そんなプレシードスペシャルは、猪熊にとって、グレ釣りに心を奪われた25年前に愛用していた特別な1本。「プレシードスペシャルといえば、当時を知っている人なら必ずよい竿だったといわれるほど高い評価を受けていました。その特徴は、魚の引きを胴にのせて満月のような弧を描き、しっかりとタメが効くことでした」。
かつてのプレシードスペシャルが魚の引きに応じて曲がり、引きを存分に味わえる胴調子の竿なら、魚をいなす曲がりと、高い操作性を高いバランスで両立させた「至極の本調子」を実現したのが、がま磯スーパープレシード。がま磯ファンの記憶に生き続ける名竿・プレシードの復活に、猪熊の胸も高鳴っていた。
エサ盗りとの攻防
猪熊が降り立ったのは、大分県津久見市長目クズシ岩の正面。ここは上げ下げともに狙える釣り場で、遠投気味に攻めることで良型の口太グレが期待できる。 「上げ潮がよい感じでいっているので、今、釣らないといけません」と、この釣り場を熟知している猪熊は、上礁後すぐに準備を開始。 ロッドケースから取り出したのは、がま磯スーパープレシード1号5.3mだった。 足元にマキエを入れると、アジやスズメダイ、ウマヅラハギ、フグ、カンダイなどがひしめき合い、グレの姿は全く確認できない。「一番厄介なのはウマヅラハギですね。ガンガン沖へ出ていきますから。まずはサシエを目立たせないことが肝心なので、サシエをゆっくり落とせる細軸のハリ『ファイングレ』5号を使います」。 マキエを遠近で打ち分け、浅いタナから探っていくと、表層付近にいるエサ盗りがサシエをかすめ取る。そこでウキの浮力を02にチェンジし、サシエをオキアミの漬けにチェンジすると、本日最初のアタリが出た。 しっかりと竿でタメて、反撃を封じた相手は40cmの口太グレ。
美しい満月
胴に乗る調子ながら、持ち重りを一切感じさせないのが、スーパープレシード。最新の素材である「TORAYCA® T1100G」と「nanoalloy TECHNOLOGY」を採用したことに加え、グリップなどのバランスを最適化することで、5.0m、5.3mはもちろん、5.8mの「スーパープレシード ロングスペシャル」もそれを感じさせない。 「すごくタメが効くので、積極的にロングスペシャルを選ぶというのもアリだと思います。例えばハエ根が少し沖まである場所。竿の曲がる支点が沖になれば、上手くかわすことができるでしょう。足場が高い磯でも有利ですね」。「また、ぜひ体感してもらいたいのは、4.7mと5m、5.3mに採用されている、魚の強い引きを竿全体で受け止める『INASYSTEM(イナシステム)』です。衝撃吸収性の高い特殊素材を最適な場所に使用することで、魚が竿を叩くことで現れる瞬間的な衝撃の緩和をもたらします」。 そしてまた良型を予感させるアタリが…。 いつのまにか晴れ渡った空に、猪熊さんが手にしたスーパープレシードが美しい満月を描いていた。
デザイン
前作を彷彿とさせる鮮やかなペイント
がま磯ロッドといえば赤黒を基調とした不変のトラディショナルなデザインが一つの特徴。しかし、このスーパープレシードには、前作を彷彿とさせる、復活を歓喜する不死鳥のような鮮やかなペイントが施された。先調子や胴調子といった既成概念に一石を投じたい開発陣の熱意はこのデザインにも表われ、過去のがま磯シリーズとは一線を画する先鋭的なそれは特別な存在である証だといえる。
INASYSTEMイナシステム
魚をいなす
衝撃吸収カーボンを随所に配置
かねてから構想があったものの適した素材が見当たらないとあって停滞していた、逃げようとする魚と獲ろうとする釣り人、そのふたつの相反する力が発する瞬間的な衝撃の緩和、つまり竿のブレやタタキを抑制する構造だったが、非常にしなやかかつ衝撃吸収性の高い特殊素材の発見によって構想は実現した。素材の尖った特性に配慮しながらサンプリングを繰り返すことで、適材適所の配置バランスを見出し、通常のカーボンブランクスにおいて一定時間続く強いブレの抑制に成功する。初動の振幅は約60%減少、時間にして約1/3のスピードで小さくなるという驚異の数値を実現した設計こそがスーパープレシードを構成する重要メソッドの「INASYSTEM(イナシステム)」である。
本調子
先調子と胴調子のよさを 併せ持つ総合力で勝る
「スーパー」の名を冠した三代目プレシードのコンセプトは〝柔軟な曲がり〟と〝操作性〟の両立。それを実現するために採用したのが〝本調子〟である。「語弊を恐れずに言うと、車で例えるならがま磯の競技シリーズがフォーミュラーカー、マスターモデル、アテンダーシリーズがオフロードカー、そしてスーパープレシードは、ゲレンデバーゲンやレンジローバーなどのオンロードとオフロードともに快適なSUVといったイメージです」と語るのは開発担当者だ。胴調子と先調子のよさを併せ持つ本調子のスーパープレシードもハイレベルの総合力があり、釣り歴やターゲットなど幅広い条件に対応できるのが魅力だという。
ロングスペシャル
余裕を持ったやり取りを可能にする
長尺バージョンも
5.8mのスーパープレシード・ロングスペシャルは、曲がり過ぎることへの対処として強い張りと高強度化を実現した「TORAYCA® M40X」とベースとなる「TORAYCA® T1100G」とともに適所に使った。 また、持ち重りを抑えるためにリールシートの位置も最適化するなど、ロングレングスでありながら5mや5.3mの使用感との差を極力減らす設計がなされている。 また、本来のカーボンマテリアルの特性が生き、本調子ならではの魚の引きをいなす性能をより発揮して、不意の大物にも余裕を持ってやり取りができるからだ。 チヌ狙いなどでの1号は、遠投性に優れることや藻やストラクチャーをかわしやすく、口太グレを想定した1.25号は、潮なじみのよいロングハリスを用いた釣りが可能。 尾長グレをメインターゲットとする1.75号は、高場でも楽にラインメンディングがおこなえる。