「不要なものをそぎ落とす」ことで、ライトゲームの歴史を変えた「宵姫華」。
いま、それをさらに突き詰め一騎当千の全14モデルが完成した。
ここでは、その全貌をアジングマイスター藤原真一郎に語ってもらおう。
「初代の華を作ったころは、いま思えばアジングもまだまだ始まったばかりで、専用のロッドといっても“いらないものが、沢山ついてた”んですよ。だから、それを全部そぎ落としたことで、このシリーズは高い評価を受けたんだと思います」。
華弐についてのコメントで、藤原が最初に口にしたのは、初代が誕生した経緯だった。わずか1gにも満たないリグを使うライトゲームにとって、ブランクはもちろんだが、ガイドの重さや個数、スレッドやそれをコートするエポキシの厚みさえ、ゲームの展開に大きな影響を与える。黎明期から様々な流用ロッドで試行錯誤を繰り返してきた藤原にとって初代の華は、誕生したばかりのライトゲームロッドにおけるザイン(実存)を提起する試みだったのだ。
「細いラインを捌き、どんなテンションと動きをジグヘッドに伝えるのか、やればやるほど新しい攻め方が見えてくるのがこのゲームです」。いまや、その本質は、多くのユーザーが共有するフェーズに入ったと藤原はいう。
「新しい華弐は、そんな皆さんが“次のドア”を開くものにしたかったんです。それを妥協なく突き詰めていった結果、必然的にアイテムは細分化されて全14モデルになりました。僕のわがままに付き合ってくれた開発陣には感謝です(笑)」。 だから全機種ハズレ無し。ジグ単モデルもフロートを使うロングロッドも、必ずあなたの「脳を刺激する」新たな水中イメージを見せてくれるはずだ。
激戦区の漁港を制す
超感度ロッド
アジングの人気はとどまることを知らず、都市近郊の漁港の常夜灯下は、まさに過密状態。最盛期には、釣り座を見つけることさえままならないケースもある。「たしかに常夜灯下は釣りやすくて楽しいけれど、これからは、常夜灯下に入れなくてもパターンを見つけられるスキルを磨いておきたいですね」。
だからこそ、ロッドの感度は大きな武器になる。港内だけでなく灯りのない港外にもポイントは沢山ある。レングスの長いモデルに持ち替えて人の届かないスポットを釣るなどの必要性も高まってきた。「じつは、晩秋からの最盛期なら、潮通しがいい場所なら、真っ暗な場所でもアジが回遊していることが多いんですよ」と藤原はいう。そうした様々な状況やポイントの中でも、ベストな感度と操作性を実現できるのが全14モデルとなった華弐のラインナップなのだ。
究極の世界へと導くソリッドティップ
ソリッドティップモデルはソリッドのテーパー・長さ・太さなどを少し変えるだけでロッドの性格を大きく変えることができる。ライトゲームロッドのような繊細系のロッドであれば、わずかな調整であっても大きな影響となる。加えてロッドのトータルレングスやチューブラーサイドのパワー・テーパーなどを考慮すると設計の自由度は途方もない領域に達する。華弐は、藤原の感性が求める特性を、開発陣がチューブラーとともにソリッドの長さを数mm単位で調整し、太さに至っては0.05mm単位で調整して仕上げられている。
先鋭化した個性が実現する「本当の扱いやすさ」
より軽く「反響感度」や「荷重感度」が大幅に向上した華弐は、その結果、さらに扱いやすくなった。「いわば1本1本が“この状況SP”です(笑)」。より繊細なテンションコントロールが、ロッドを変えることで劇的に楽になる。
「単に巻きかフォールかだけじゃなくて、ドリフトされている場面でも、流しながら送って落とす、テンションを少し強めて横移動させるのか、巻きを強めてUターンをさせるのかといった選択肢があるでしょう?
テンションを掛け、その中でバイト感じ掛けていくためには、ロッドのレングスやアクションと密接な関係があります。これは、どんなリグでも同じです」。だから、ジグ単用には54ALやULよりも少し硬い57UL+が加わり。
FLでは、5’4”、5’9”、6’8”、ULも5’7”、6’2”、6’9”と細分化された。バーサタイルなLは6’4”と7’2”の二つに分けられ、MLは6’4”にMは7’2”にショート化。8’0”MHと肩を並べるHは8’6”と長くなっている。「中上級者なら、各モデルの“ポテンシャルを引き出す悦び”を必ず感じ取ってもらえるはずです」。これが華弐の配備に込められた藤原真一郎からのメッセージなのだ。
ジグ単の
スペシャリスト
ジグ単に特化したモデルは、シリーズ初となるALの5’4”を始め、FL&ULとも3機種に細分化され、より深く繊細なテンションコントロールが可能となった。高弾性で張りがあるのに、しっかり曲がる安心感も持ち味。54ALで尺アジを抜いてもなんの不安もないという
フロートリグを操る
ライトゲームロングロッド
単に飛距離を稼ぐだけの分離リグに飽き足らず、ジグ単レベルの操作性を実現した「Fシステム」の発案者でもある藤原が監修したとあって、長めのレングスとなる72M、80MH、86Hとも使用リグにベストなパワーに加えてロングロッドらしからぬ感度と操作性を実現。激戦区の竿抜けスポットを直撃する「第二のメインロッド」としての個性を主張している
モデル紹介
54AL
「華にもエアライトの楽しみを
華では初となるALモデルです。究極的極細ブランクスが伝えてくれる釣り場での様々な機微。ジャパニーズスモールゲームを心ゆく迄楽しんで頂ければと思います。
54FL
「軽快さと刺激と」
この、空気抵抗さえ感じさせないような細身のブランクスには、シャープな操作性とフレキシブルな追従性が宿っています。
軽快かつ刺激的なジグ単ゲームが楽しめます。
59FL
「ナチュラルアクションを極める」
ジグヘッド、ワーム、ラインを海中に馴染ませ、違和感なく紛れ込ませるような感覚で釣りが出来るモデルです。極軽量なジグヘッドを滑らかに操ることができ、肩の力を抜いたスローなアジングを楽しむことができます。
68FL
「宵姫フェザーライトの銘品」
宵姫のフェザーライトシリーズの端緒となったDNAを受け継ぐモデルです。レングス全体でルアーの荷重をコントロールすることで、非常に細かいメモリのテンション操作を可能としています。
掛けるとよく曲がるレギュラーファーストテーパー設計で、魚とのやり取りが存分に楽しめます。
57UL
「タクティクスと釣獲力を詰め込んだジグ単ロッド」
「近接型スーパーアグレッシブ」
「感じ、掛け、獲る。」を追求したモデルです。
海中からの情報量の多さ、それはそのまま魚の居場所やその日のパターンを絞り込むデータになります。
高い操作性と情報収集能力を武器に海中での駆け引きを思う存分に楽しんで頂ければと思います。
62UL
「Theオールマイティ」
幅広いウエイトコントロールが可能にもかかわらず、弱い吸い込みにも対応出来る絶妙なソリッドティップに仕上がっています。
スプリットや小型のフロート、スモールプラグやジクといった様々なルアーゲームも軽快に楽しめるモデル。
69UL
「ULロッドの王道」
幅広いウエイトのジグ単に加え、中距離ゲームまでを一本で楽しめるロッドです。
定番の610レングスから1インチのショート化により軽快感が増しています。
57UL+
「近接型スーパーアグレッシブ」
潮流や水深など負荷のかかるシチュエーションを感度とレスポンスで攻めるモデルです。
良型・大型相手にヒリヒリするような釣りを楽しみたい方に。
64L
「ライトゲームの新機軸」
Lパワーをショートレングス化することで、振りの良さと様々なリグへの対応力の両者を実現しました。
波止場周りで用いる様々なリグに対応し、感度的にも荷重感度、ボトム感度等高く、幅広い釣りを刺激的に楽しむことが出来ます。
72L
「ライトゲームを遊び尽くす」
ライトパワーの王道を行くモデルです。足場もほとんど選ぶことがなく、このモデルだけでライトゲームを網羅的に楽しむことが出来ます。
ソルトライトゲームを遊び尽くしたい方に。
64ML
「ショートandパワー」
強いバットパワーに、張りはあるものの軽量リグすら扱える高い操作感度を実現したソリッドティップを搭載しています。
使い手によって、ジグ単、スプリット、プラッギングなど、それぞれの専用機になるようなポテンシャルを持つモデルです。
72M
「中距離spécialité」
中距離リグを一手に担える力強さを持ちながら、7フィート前半というレングス設定によって、非常にシャープな振り感を実現しました。波止場だけでなくゴロタ浜等、足場を選ばず楽しむことが出来ます。
フロートでは、10g前後でテンポ良く探って行くスタイル。
80MH
「Fシステムのすべて」
ロングキャストに繊細な操作性が宿るとライトゲームの魅力と楽しさはさらに広がります。
フロートをはじめジグやプラグ、キャロやエギといった陸っぱりの楽しさを広げるアイテムが軽快に扱え、特にフロートリグでは50m以上先の囁くようなアタリが楽しめるモデルです。
86H
「大人の余裕」
圧倒的なパワーと遠投性能を誇りながらロングレングスを感じさせない振り感。ダイナミックなシチュエーション、大型狙い、不意のゲストフィッシュといった負荷の掛かる場面でも、いつも余裕を持って楽しませてくれるモデルです。
このゲームにアジ・メバルの境界線はもはや存在しない
華弐は、「アジング専用」ではなく、あくまで「ライトゲームロッド」であると藤原はいう。「アジは“掛け”だけど、メバルは“乗せ”だとよくいわれますよね。でも、メバルも居食い=掛けの釣りがあるし、アジを巻きで乗せることも珍しくありません。アジとメバルは、習性こそ違いはあっても、テンションコントロールを使いバイトを引き出し掛けていく点は同じです」。もちろんライトゲームの主役がアジであることは論を待たないが、メバルでも華弐から自分のポイントにあったモデルをセレクトすれば、ゲームの展開は別物になる。スレ切ったメバルが多い漁港の常夜灯下では、ジグ単モデルが活躍するし、尺を狙う小磯周りの釣りでも細分化されたパワーとレングスの設定がありがたい。なお、繊細さばかりに目が行く華弐だが、パワーモデルの80MHや86Hの底力は大変なもので、藤原は、フロートやメタルジグで、たびたびマダイをキャッチしているとか。ブランクの進化が、かつての不可能を可能にする時代なのだ。
総括
ライトゲームに求められる操作性と感度。それらに必要なものを0から構築し直すという作業から始まったのが「宵姫 華」シリーズです。 必要なもの以外すべてを削ぎ落とし、シンプル&軽量で、アングラーの感性を引き出し研ぎ澄ましてくれるようなロッドに仕上がりました。
今作「華弐」は、「華」で得た知見を基に、より操作性と感度を煮詰めていくべく、見えるところではソリッドの細かいセッティングやリールシートのホールド性、エンドグリップの重量や形状などに手を加えました。 それらにプラスして、テーパーや感触、想定シチュエーションの幅を広げました。 ライトゲーム人気の高まりとともに、攻略するシチュエーションだけでなく、愉しみ方そのものも広がって来ています。
各モデルとも表記上はレングスとパワーだけの素っ気ないネームですが、それぞれに個性溢れる14機種となっています。 軽量、軽快で高い察知能力を持った「華シリーズの洗練」を楽しんで頂きたいと思います。
―藤原真一郎
宵姫華弍 製品情報