「競技の世界では限られた時間の中で1投1投を大切に、そして、ていねいに釣りを展開していかなければなりません。狙いのポイントへ仕掛けが入らず、投入からやり直しているようでは無駄な時間を使うことになってしまいます」
「その点、前作よりも先調子よりに設計されたチヌ競技スペシャルⅣは自在にコントロールがきくため、安心して試合に臨めると思います。仕掛けの投入精度が向上したので向かい風や横風が吹く悪条件でも狙ったポイントへ振り込むことが可能だし、食わせるまでのこまかなロッド操作やラインメンディングもストレスなく軽快におこなえます。まさに試合で力を発揮してくれる“攻めのロッド”に仕上げることができました」

「競技の釣りはプライベートでのんびり釣るスタイルとは違うため、フィールドの選定もできません。風が吹き荒れる磯やウネリがあるポイントで試合をすることも珍しくありません。そのため、悪条件でも釣りやすい細いラインが主流になりますが、竿のバランスが悪いとラインブレイクに繋がってしまいます」
「先調子のロッドといえば、操作性を高めるために竿全体が硬い設計になりがちですが、チヌ競技スペシャルⅣは魚が掛かれば竿全体がきれいな弧を描き、胴までしっかりと曲がってくれます。そのため、細いラインを使わなければならない状況でもラインにかかる負担をフォローしてくれるため、安心して勝負ができます」

「操作性に優れた先調子設計ですが、魚が掛かればチヌ竿らしい胴まできれいに曲がり込む設計になっています。ロッドをためていけば、ターゲットが暴れずにスムーズに寄ってくるし、何よりもチヌの引きを味わいながらやり取りができるので気に入っています」
「狙っているサイズ以上のチヌが不意にきても、がま磯ならではの粘り強い胴部がしっかりと引きを吸収させながらじわじわと浮かせてくれるので、そういった点でも安心ができます。分かりやすくいうと、掛けるまでは先調子、掛ければ胴調子といった感じでしょうか」

チヌ競技スペシャルⅣの実力を試すべく、南がステージに選定したのは高知県の須崎だった。
「瀬戸内海は釣れてもサイズが小さいんですよ。どうせ釣るなら良型が混じるエリアの方がニューロッドの力を発揮できるかなと思いまして」
しかし、下り立った磯は湾内といえど大寒波の影響で爆風が吹き荒れる状況。さらに南を追い込むように当て潮が襲いかかる。果たして、最悪ともいえる悪条件の中でチヌを手中に収めることはできるのだろうか。0号の5.3メートルに南が得意とするゼロウキスタイルを組み合わせ、まずは20メートルほど沖から仕掛けを入れ込んでいく。
「風が強くても先調子設計で持ち重りも感じないので楽に振り込めますね。それに狙い通りのポイントへ仕掛けがピンポイントで入ってくれるので無駄な動作をしなくて済みます」
当て潮に仕掛けをなじませ、まずは42センチ。悪条件とは思えない幸先のいいスタート。そして同じパターンで仕掛けを流し込むこと数投目、またもやチヌ競技スペシャルⅣがきれいな弧を描いたのだ。
「こいつはでかい」。何度も抵抗を繰り返す大型の引きを粘り強い胴部で受け止め、海面に浮かせたのは50㌢に迫る年無しクラスだった。
「魚を掛けるまでは振り込みやラインメンディングがおこないやすい先調子ですが、魚が掛かってからは竿全体がきれいに曲がり、胴の部分でしっかりと引きを吸収してくれるので魚を暴れさせることなくスムーズに浮かせることができましたね。ハリスも1.5号でしたが、まだ余裕がある印象を受けました」
その後も45センチクラスを追加。悪条件でありながら、良型のチヌを3尾仕留められた結果に納得。狙い通りに振り込め、爆風下でも軽快なライン操作ができる先調子設計。そして魚が掛かればラインにかかる負担を減らしつつ魚をスムーズに浮かせる胴調子に変貌するチヌ競技スペシャルⅣのポテンシャルを証明した1日となった。