この日、0号を使用した波多も、1.25号を使用した中西も、もちろん0.6号を使用した沖永も、新しいロッドについてまったく同じ感想を述べていた。それは強いながらもしなやかで、軽く操作性に優れていること。 ただ強いだけではない。単に軽いから操作性がよいのでもない。チヌを獲るための異なる性質を、号数ごとにバランスよく振り分けているから、0号も1.25号も同じ感想が出てくるのだ。
1.25号をメインに使った中西は言う。
「シーンに応じて号数と長さを選べるのが特徴です。前作は釣り人主導で魚を上げる竿でしたが、前回の調子のいいところを受け継ぎながら元竿は細い。新しいカーボン素材で起こしてくれますね」
真逆の0号を手にした波多は「0号なのにシャンとして操作性がいい。もちろん全然魚が怒らない調子に仕上がってます」と。そして0.6号の沖永も「シャキッとしていますが竿を曲げても魚が怒らない。竿の力で寄せてくれるので使い勝手がいい」と絶賛する。
出雲のチヌは強く大きい。水深が浅いからものすごいトルクで走る。早くからここに通い込む中西でさえ、何度もハリスを切られたことがあるという。それは今回3人が軽く手にした年無し程度のサイズではもちろんない。間違いなくあのクラス…。この竿は、そんな魚も視野に入れている。
神話でスサノヲがヤマタノオロチを倒して得たのは、史上もっとも有名な草薙の剣。しかし伝説の強さを現在に受け継いだ、60センチクラスの「スサノヲちぬ」は、生まれ変わったこの銘刀、『がま磯チヌ競技スペシャルⅣ』がきっと仕留めることになるだろう。