がま磯

2021がま磯NEWロッド
時代を越えて復活

より美しく曲がっていなす
“本調子”が新たなる世界へ誘う

猪熊博之スペシャルインタビュー

魚を掛けてからが面白い竿ですね

先調子でもなく胴調子でもなく…その実体はいかに

なぜプレシードが復活したのですか?

昔、僕は「プレシード」の後継機種、「プレシードスペシャル」から使ってました。平成5年くらいかな、もう28年前ですね。僕がフカセ釣りに熱を上げ始めた頃です。だから僕の中では思い出がある竿なんですよ。駆け出しでいまの「フリーフォール」という釣り方の微塵もないときでしたね。
当時、がま磯最高峰の初代「インテッサ」が先行していて2番手に「プレシードスペシャル」という位置づけでした。初代「インテッサ」は最高峰だけあってパワーのある、いわゆる強い竿というイメージ、それとは真逆の胴に乗って魚をいなすような、そういう魚の引きを味わえる竿で、対照的な最高峰と2番手という存在でしたね。それがその後「レイダム」に変わって、爆発的にヒットした「アテンダー」に受け継がれるんです。 それなら昔の名竿を最新鋭のカーボン素材と最高の技術でよみがえらせればさらに魚の引きを楽しめる名竿が誕生するという面白さがあったんで開発チームに持ちかけました。

昔のプレシードスペシャルは具体的にはどんな竿でしたか?

取り回しがしにくく持ち重りがする、操作性も良いとは言えなかったですね。ところが、魚を掛けるとこの竿の良さが分かる。魚をいなすというのが楽しかったです。だから取り回しよりも魚を掛けてからの良さが上回っていたような竿です。掛けてから竿全体で魚を乗せるっていうような竿。いわゆる胴調子のようですが、それよりももう一段も二段も曲がり込むイメージです。がまかつではそれを“本調子”って言ってますね。大きな魚になればなるほど、暴れないというかゴムのような弾力を発揮する感じで僕好みでした。とにかくきれいに美しく曲がりましたね。 同時に初代の「グレ競技スペシャル」も使ってましたけど、これは競技志向というか抜群の取り回し性能があって名竿中の名竿ですけど、魚を掛けてからの楽しみは僕の中ではプレシードスペシャルが一番でした。竿というものは、それぞれに味付けが違うんですよ。それぞれに対極化していると幅が広がるんですよね。

完成したNEWロッド「スーパープレシード」の印象はどうですか

フィールドテストは地元の大分をメインに九州各地で行いました。40〜50cmの口太と尾長を相手に相当釣りました。僕が一番大事にしたい魚をかけてから楽しい竿というイメージは完成したと言っても過言ではないと思います。昔の「プレシードスペシャル」の持ち味を生かした竿ですね。デザインも斬新ですよ。 それとこの竿の強みといえるんですけど、特に口太を釣っていて不意に尾長がヒットしたとき、大体は鈎をのみ込まれているじゃないですか、そんなときでもきれいに曲がる“本調子”だからラインにかかる負荷を軽減させて取り込むことができるというのも大きなメリットですよ。 たとえば大分で40〜45cmを相手にするなら、1.25号がベストチョイスだし、紀伊半島や伊豆半島周りでは1号かな、これは釣り人の好みだけどね。現行モデルでいえば、良く曲がるという点で「マスターモデルⅡ口太」のタイプMに近い調子かも知れませんね

実釣テスト報告 part1
in 長崎県上五島

久保野孝太郎&猪熊博之が激釣

NEWロッド、がま磯スーパープレシードを手に久保野&猪熊が上五島の好敵手に敢然と立ち向かった。
それは20年以上のときを経て名竿がよみがえった瞬間だった。
魚の引きをとことん楽しめるロッドとして登場したプレシードの血統を受け継ぎ、
現代のテクノロジーを搭載し新生したのだ。
その最大のウエポン“本調子”とは…。

くぼの・こうたろう

ゼロウキ釣法をメインに臨機応変に攻めるテクニシャン。ホームグラウンドは伊豆半島。関東勢で初めて“G杯グレ”の頂点を奪取。近頃は四国西南部への遠征もこなす

いぐま・ひろゆき

ラインをまったく張らず全遊動仕掛けで攻めるフリーフォール釣法の使い手。“G杯グレ”はもちろん数々の全国大会でトップに立つ。ホームグラウンドは大分県一帯

先調子でもなく胴調子でもない…

  • 久保野がじっくりと口太を浮かせにかかる。グレの抵抗を吸収するかのように暴れさせない静かな取り込み。この暴れさせないというのも“本調子”の魅力だ

  • こちらは1.25号の5.0mで仕留めた。短い分だけ取り回しがよく軽いフットワークを武器に取り込んだ

  • 猪熊が沖の潮目から激信をキャッチ。ロッドは余裕を感じさせながら美しく曲がる。これが“本調子”の曲線美だ

  • 1.25号の5.3mVS40cmオーバーだった。ロッドの反発力を最大限に生かし、不動の体勢でなんなく取り込んだ

テクニカル KEYWORD 1

玉口部のデザイン

「がま磯」ブランドすべての商品玉口部に施している赤黒金の帯は、がま磯のブランドイメージを構築してきた。デザインが時代と共に遷移する過程において、初代「プレシード」では、代名詞ともなった玉口部のデザインへの探求と挑戦を示し、 これまでにない斬新なものを採用。今回、がま磯から新たに登場したスーパープレシードは、一見前作のプレシードを思い起こさせる風情だが、 細部に宿した”新しさ”は現在だからこそ実現可能な高い技術力と意匠性によって造り上げられた。また、従来の帯デザインを単にブランドの系譜とは捉えない敢然とした姿勢は、プレシードシリーズが唯一無二であることを表している。

黒のフォルムに赤と黄金のラインをあしらったグリップ

ラバーエンドグリップ

ラバーを被せたスーパープレシードのエンドグリップは、竿全体のデザインを引き締めるとともに、肘や腰などにあてた際のホールド性を高めた。魚とのファイト時、 体にあてたロッドエンドが滑りにくくなることで、雨天などでも安心してやり取りを楽しめる。また、ラバー製グリップなのでグッと握り込むことができ、 やり取りや振り込み時の安定性も向上した。さらに、エンドグリップを太くし重心を手前に置くことで持ち重りの軽減に成功。 仕掛けを流し込む時などの、竿を水平から下向きに構える際には、特に竿先が軽く感じることができ、操作が容易になりラインメンディングがしやすくなっている。

テクニカル KEYWORD 2

INASYSTEM

軽やかに魚をいなし、取り込む

瞬間的な衝撃の緩和を目的とし、非常にしなやかで衝撃吸収性の高い特殊素材を適材適所に配置した設計システムを搭載。 通常カーボンブランクスでは一定時間強いブレが続くのに対し、イナシステムを搭載したブランクスでは初動からの振幅が当社比較で約60%、時間にして約1/3のスピードで収束します。 これにより、魚の首振り・竿の叩き・ブレを緩和し、細ハリスをいたわりながら上手く「いなす」やり取りをサポートします。

突っ込んでも粘りが効く
だから余計な抵抗はしない

徹底的に曲がって
バット部の強さを感じる

魚影がすこぶる濃い上五島で最終のフィールドテスト

久保野と猪熊が訪れたのは長崎県上五島。スーパープレシードの最終実釣テストだ。満を持して登場するスーパープレシードの最大の特徴は、魚の引きを柔軟に受け止める味わい深い本調子。やり取り時には竿全体が順番にスムーズに曲がって感動の瞬間を演出してくれるというロッド。よどみのない美しい曲がりを追い求めて開発が進んだのだ。魚影がすこぶる濃い上五島で徹底したテストが敢行された…。

お互いに1.25号のロッドをセレクト

テストは2日間の予定で初日はクロモのマナイタの低場へと渡礁した。ここは穏やかでないとなかなか上がれない磯だが魚影の濃さは抜群だ。 猪熊は、ウキ止めを使わずに4ヒロのロングハリスにウキを通し、なるべくガン玉を使わない軽い仕掛けでサシエを落としていく、ロングハリスのフリーフォール釣法が攻めの基本。ウキを基点にサシエを沈下させながらしっかりマキエと合わせていく。 一方、久保野はウキを水面下10〜20cmに入れて止め、水中に浮かせてタナを取って釣るというのが基本スタイル。仕掛けが吸い込まれる潮目を狙い撃ちし、マキエとサシエを同じ動きにできるよう、ウキのきめ細かいチョイスを行い、ノーガン玉や状況によって極小ガン玉を使いつつ、思いのタナを維持する釣りを展開する。 船着きに猪熊、少し離れて久保野が陣取る形で釣りがスタート。猪熊は1.25号5.3m、久保野は1.25号5.0mをセレクト。

2日目は名礁、赤島のハナレに渡礁。徐々に潮が利き出し、活性が上がってくる…

引きを吸収する粘りの本調子を実感

まず竿の印象はどうだろうか。 「がま磯の粘り腰をより強調している感じで徹底的に曲がって引きを吸収してくれます」と久保野。 「グレが突っ込んでも竿の粘りが効いて余計な突っ込みをしないですね」と猪熊。 コンスタントに竿を曲げ続ける2人だが、「マキエとサシエをべったり合わせるとグレの型が少し小さいですね」と猪熊。そのサイズアップ戦略として、マキエが流れてくるであろう潮下側でサシエと合わせるよう、少しズラしたりしながらマキエワークに変化をつける。いくら魚影の濃い上五島とて漫然と釣っていたのでは喰いが中断したり、型が伸びない状況もあり得る。これぞ間断なくヒットさせるコツだといえる。 潮は刻々と変化する。しかしその洞察力は的確だ。引き出しをたくさん持つ名手が魚影の濃い磯で全力を注ぎ込む。すると結果はこうなるのか… と思わせられるようなヒットの連続。

お互いのディスカッションでNEWロッドは鍛えられていく

それぞれの得意な釣り方でヒットさせていく。言うことなし

活性が上がると入れ喰い。さすがに魚影は濃い

口太の45cmクラスがメインのテスト。1.25号と1.5号の出番が多かった

状況が上向いてきたのでロッドを1.5号にチェンジ

「パワーがあって曲がり方にも余裕がありますね」と40cm級の口太をいなす久保野。「いま潮がよくなってきて、尾長が喰いそうな状況になってきたので竿を1.5号5.0mに替えてみたんです」。同時に仕掛けも変更。ウキをG3にチェンジ。先ほどまではノーガン玉だったがウキ止めを付け、直結部にG4、ハリスの真ん中にG6を打つ。 猪熊は、右からの流れが左側のサラシから出る払い出しとの潮目でヒットを連発する。このときの竿は1.5号5.3m。この後、順次1.25号5.3m、1.25号5.0mへと替えながら曲がり具合を確認する。

+50cmが心強い
ロングスペシャルで攻め幅が広がる

衝撃吸収カーボンで粘り強さが増す

「本調子という竿のコンセプトが実感として分かりますよね。T1100Gに加えて衝撃吸収カーボンのおかげで、粘り強さがあり、魚を掛けたときのブレが少ない」と猪熊 「本調子と聞いて、曲がりすぎるから弱いのかなと思いながらもちゃんと起きてくる。今までの磯竿って先調子か胴調子か、二極化して分けられていたけれど、こういう本調子もあるんだという提案がしっかりできる」と久保野。 猪熊はロングスペシャルの1.25号5.8 mでも連発。 「左右にハエ根があるので長竿は有利ですよね。タメも効くしハエ根をかわしていける。やり取りも楽しくて5.0、5.3mにはない味わいです。今まで飛んでいた距離よりもっと遠くも攻められます」

沖の潮の壁狙いで理想的な展開…

2日目は赤島のハナレでまた良型グレを連発した。 久保野は1.5号5.0m。猪熊は1.25号5.0 mからのスタート。沖向きのポイントに並んで入る。 手前から流していき、やや沖の潮の壁にいくとすぐ当たるという理想的な展開で次々に竿が曲がる。 猪熊は昨日同様にフリーフォール仕掛け。久保野も同様にノーガン玉仕掛け。潮目で入り出したら止めておいて微妙なテンションを維持しつつアタリを待つという戦法だ。 久保野の釣り座の左側には根があり、その少し沖に潮目ができている。仕掛けが入るピンポイントを狙い、かなりの良型をヒットさせたが痛恨の根ズレ。だが、すぐに同じところでヒットさせ、その根をうまくかわしながら仕留めることに成功した。タモに納まったのは今回最長の45cm。「ためが効いてパワーがあるスーパープレシードに助けてもらいましたね」 続いて猪熊にも45cmがヒット。「これはタナが浅めですね。イメージ的には1ヒロ半くらい」。ロングハリスでじわりフリーフォールさせての1尾だ。

最長は45cmでテストは無事に完了

その直後、久保野がまた竿を曲げる。痛快なやり取りで仕留めたのはまたも45cm。「喰ってきたタナは3ヒロくらい。潮目の向こうで張って待っていると当たってきましたね」 2日ともコンスタントに良型グレが釣れ続き、NEWがま磯スーパープレシードの最終テストも無事終了。最強コンビはこう締めくくってくれた。 「ねばり感とか、魚が首を振らない感じとか、絶対に分かるし、みんなが同じ調子でためることができる、本調子っていうものをぜひ体験してもらいたいですね」

猪熊がロングスペシャルである1.25号の5.8mでとらえた。長さを武器に左右のハエ根をかわしながらタメを効かして取り込んだ

数々のがま磯のNEWロッドをテストしてきた2人。厳しい指摘が明日に反映されロッドに生かされる…

久保野は1.5号の5.0mで沖の仕掛けが入り込む潮目で食わせた。取りまわしよく軽快な竿さばきでフィニッシュを決めた

この日に多用した鈎は、カモフラージュカラーでマキエとなじむ「セレクトグレ」。新素材GハードV2を使用した抜群の貫通性能を誇るグレ鈎

テクニカル KEYWORD 3

先調子とは『竿の先からその下あたりを支点に曲がるような調子』で振り込みや操作性に優れた調子。胴調子とは『元上付近を支点とし、倒れ込むように曲がる調子』で魚を浮かせるのが得意な調子だ。 では、今回のスーパープレシードで採用された本調子とはどういったものか。 それは『竿の中央付近を支点に竿全体が曲がる調子』。特に、この竿ではよどみなく均一に曲がり込み、魚をいなすことに重点を置いた。 先調子の操作性、胴調子の浮かせる力は、それぞれフィールドや目的で使い分ける必要があるが、本調子はどちらの長所もバランスよく備えており、万人に使いやすい調子となっている。まさにスーパーでスタンダードな調子と言える。

実釣テスト報告 part2
in 高知県鵜来島

西森康博&北村憲一が撃破

“デカ尾長の巣窟”鵜来島にがま磯NEWロッドが挑んだ。 釣り手はご存じ、デカ尾長に惚れこんでいる西森&北村の名コンビ。 スーパープレシードは「釣り人の好みだけど、アテンダーⅡやマスターモデルⅡともまた違う引き味が楽しめるよ」。

1.75号と2号の強い竿をテスト

早春の絶好機にデカ尾長の巣窟、鵜来島にアタックした。ステージは水島2番の奥。前方、竿1本半くらいにデカ尾長の魚影を確認。当て潮気味だが、そこは勝手知ったるポイント。落ち着いた様子で釣りをスタート。 ターゲットが尾長とあってセレクトしたのは1.75号と2号というパワーのある号数。それに5.8mというロングスペシャル。

西森が175-58を絞り込む。この日は喰いが安定していてウキ下1ヒロ弱でズドーンとくる

胴の部分にパワーが入りやすい

北村は、「僕は2号の5.0と5.3mを使いましたが、やり取りのときに胴の部分にパワーが入りやすいタイプだと実感しましたね。最長が55cmでしたが竿全体がきれいに曲がるような調子ですね。曲がるから魚が暴れないし魚の引きが楽しめる感じがよかったです。それと1.25や1.5号を使って立て竿でゆっくりと口太とやり取りしてみたい竿だなとも思いました。細ハリスも使えるしね」

2号で耐える北村。ここからロッドを起こし反撃開始

北村のここでのレギュラーサイズ、55cm。

ロングスペシャルで59cmゲット

一方、最もデカ尾長を釣る男、西森は「59cmかな、1.75号のロングスペシャルで釣ったけど、取り込みに入ったときにあしらいやすくスーッと寄ってきた感じやね。それとこのエリアは風が強いことで知れてるけどそんなときに有利に釣りができるね、海面に竿先を浸けてラインを操作できるからね。足場が高いポイントでもメリットがあるよ」 デカ尾長エリアでも実証されたスーパープレシードの力は、2人のアドバイスでさらにパワーアップされることは間違いなかった。

西森にとって、当たり前のサイズ。だがテストには十分過ぎる。
1.75号のロングスペシャルで仕留めた

テクニカル KEYWORD

5.8m

通常の5m30cmのロッドに比べ、+50㎝というレングスは、より広いポイントを探ることができる遠投性はもちろん、ストラクチャーを回避したり、磯際の突込みをかわすのに大きなアドバンテージを持つ。また、魚の引きを受け止めるロッドストロークが増え、楽にやり取りができる。足場の高い釣り座でも、風に左右されることなく簡単にラインメンディングができ、さらに、フカセ釣りでもっとも重要なサシエとマキエの同調がしやすくなる。現在の釣法では、潮なじみを優先したロングハリスが一般的になってきているが、この場合でも容易に取り回しが可能なので、サシエをナチュラルに流し、違和感なく魚に喰わせることで釣果アップが望める。

M40X

高弾性カーボンは硬質で強い張りが出せる一方、神経質な素材であった。その弾性率をそのままに強度を30%向上した新素材がM40X。