先調子でもなく胴調子でもなく…その実体はいかに
なぜプレシードが復活したのですか?
昔、僕は「プレシード」の後継機種、「プレシードスペシャル」から使ってました。平成5年くらいかな、もう28年前ですね。僕がフカセ釣りに熱を上げ始めた頃です。だから僕の中では思い出がある竿なんですよ。駆け出しでいまの「フリーフォール」という釣り方の微塵もないときでしたね。
当時、がま磯最高峰の初代「インテッサ」が先行していて2番手に「プレシードスペシャル」という位置づけでした。初代「インテッサ」は最高峰だけあってパワーのある、いわゆる強い竿というイメージ、それとは真逆の胴に乗って魚をいなすような、そういう魚の引きを味わえる竿で、対照的な最高峰と2番手という存在でしたね。それがその後「レイダム」に変わって、爆発的にヒットした「アテンダー」に受け継がれるんです。
それなら昔の名竿を最新鋭のカーボン素材と最高の技術でよみがえらせればさらに魚の引きを楽しめる名竿が誕生するという面白さがあったんで開発チームに持ちかけました。
昔のプレシードスペシャルは具体的にはどんな竿でしたか?
取り回しがしにくく持ち重りがする、操作性も良いとは言えなかったですね。ところが、魚を掛けるとこの竿の良さが分かる。魚をいなすというのが楽しかったです。だから取り回しよりも魚を掛けてからの良さが上回っていたような竿です。掛けてから竿全体で魚を乗せるっていうような竿。いわゆる胴調子のようですが、それよりももう一段も二段も曲がり込むイメージです。がまかつではそれを“本調子”って言ってますね。大きな魚になればなるほど、暴れないというかゴムのような弾力を発揮する感じで僕好みでした。とにかくきれいに美しく曲がりましたね。
同時に初代の「グレ競技スペシャル」も使ってましたけど、これは競技志向というか抜群の取り回し性能があって名竿中の名竿ですけど、魚を掛けてからの楽しみは僕の中ではプレシードスペシャルが一番でした。竿というものは、それぞれに味付けが違うんですよ。それぞれに対極化していると幅が広がるんですよね。
完成したNEWロッド「スーパープレシード」の印象はどうですか
フィールドテストは地元の大分をメインに九州各地で行いました。40〜50cmの口太と尾長を相手に相当釣りました。僕が一番大事にしたい魚をかけてから楽しい竿というイメージは完成したと言っても過言ではないと思います。昔の「プレシードスペシャル」の持ち味を生かした竿ですね。デザインも斬新ですよ。
それとこの竿の強みといえるんですけど、特に口太を釣っていて不意に尾長がヒットしたとき、大体は鈎をのみ込まれているじゃないですか、そんなときでもきれいに曲がる“本調子”だからラインにかかる負荷を軽減させて取り込むことができるというのも大きなメリットですよ。
たとえば大分で40〜45cmを相手にするなら、1.25号がベストチョイスだし、紀伊半島や伊豆半島周りでは1号かな、これは釣り人の好みだけどね。現行モデルでいえば、良く曲がるという点で「マスターモデルⅡ口太」のタイプMに近い調子かも知れませんね