そろりと忍び寄り、
がっしり掛ける
細部までこだわり抜いた傑作
『鋭刀ヤエン 鬼攻め』
『鋭刀ヤエン 鬼攻め』。この形に至るまでに支柱の高さ、間隔はもちろん、鈎数、鈎の角度まで何度もやり直している。そうして、仕上がったヤエンを手に酒本は磯に立った。終盤を過ぎ、もはや夏であった。厳しい状況の中、長い沈黙をやぶり、ドラグ音と共に糸が引き出された。走り終わり、ヤエンを投入する酒本。速いでも遅いでもなく、するするとスムーズにヤエンは海中へと消えていく。「これは掛かったでしょう」アワセるでもなく斜めにロッドを構え、距離をつめる。岸際まで寄ってきたアオリイカが釣り人の存在に気付くと強烈な逆噴射とともに反撃に出た。しかし、すでにヤエンはアオリイカの胴を捕えていた。この日のアタリは2回。その少ないチャンスを驚異の捕縛力で鋭刀ヤエン 鬼攻めはすべてをものにした。