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次代を担うグレハンター4人が ATTENDERⅢ1.75号で難攻不落の海域に勝利 NEW GENERATION デカ尾長の新鋭たち 次代を担うグレハンター4人が ATTENDERⅢ1.75号で難攻不落の海域に勝利 NEW GENERATION デカ尾長の新鋭たち

Hideo Iwasaki ストイックに精度を高める

岩﨑秀雄

いわさき・ひでお

1978年生まれ。釣りは中学生のころ友人に誘われて行った地磯のグレ釣りが最初。ウキが引き込まれる様や魚の引きが面白くてたちまちハマる。地磯は危ないからと心配した親が渡船に乗せてくれたこともあり沖磯の釣りでさらなる深みへ。
35歳のころ山中久志に誘われて尾長グレに挑戦するもまったく釣れず、自宅近くの居酒屋で出会った西森康博に師事し腕を磨く。自己記録は63cm。

当て潮&強風下で
見せた精度の高い釣り
強靱な胴の粘りでハエ根をクリア

竿を操作しながら海面を見つめる岩﨑

それでいいでは絶対釣れない

「釣りの精度を高めること。たとえば投げるところを失敗しても、まあそれでいいかでは絶対釣れませんから、必ず入れなおします」

尾長釣りで大事にしていることを問うと、そう答えた岩﨑秀雄。竿を出す水島2番の奥の奥は北西風の風裏とはいえ、前に見える3番との水道を抜けた強風が回り込んで吹きつけてくる厳しい状況だった。

マキ餌を3~4杯打ち、魚が出てくるのを見極めて、うまくサシ餌が同調させられる場所へタイミングを計って仕掛を打ち込む。少しでもズレを感じたら即座に回収してやり直し。口でいうのは簡単だが、1日通してそれを繰り返すのは容易じゃない。ましてやこの日のように風が吹き荒れる状況ではなおさらだ。
アテンダーⅢ1.75号5m、道糸、ハリス2.75号に鈎はMシステム尾長速攻8.25号。6-6のウキの直下にジンタン4号を打ち、ウキ下1ヒロで岩﨑は黙々と打ち返しを続けた。

高場で、竿を水平に持ち魚の動向を見極める岩﨑

潮の流れも風も右から左。風に向かって釣るため、マキ餌や仕掛の投入もコントロールがつけにくかった。シャキッと張りがあって操作性のいいアテンダーⅢでなければ、さらに苦戦したことだろう。

西森に師事し腕を磨く

約10年前、同級生の山中久志に誘われて初めて尾長に挑んだのは、水島2番のチョボだった。尾長はよく見えていたが、まったく釣れなかった。それをなんとか釣りたいと沖ノ島と鵜来島に通うものの相手は手強かった。

2、3年が過ぎたある日、近所の居酒屋で出会ったのが西森康博だった。尾長を釣りたい一心の岩﨑は西森に師事し、フィールドで、居酒屋で様々なことを教えてもらうなかで、特に説かれたのが釣りの精度を高めることだった。

ただ仕掛をたらしてボケっと待つのではなく、いちばんはマキ餌の中にしっかり自分のサシ餌があること。これが基本中の基本ですね。
それと海の中をしっかり見ること。魚がぜんぜん見えないのに適当にやったって絶対に釣れないですからね。大きいのは沖で浮くのか、手前は下から出てくるとか、そういうことをしっかり見て、きっちり合わせることを意識して釣りに取り組むようになりました」

水島2番の夕釣りで初の50cmオーバーとなる50.5cmを釣った岩﨑は、その後釣りの精度を少しずつ高め、3回に1回は釣れるようになっていく。
そして2020年2月28日、自己記録の63cmを手にしたのだった。

「あれはここ(水島2番の奥の奥)でした。西森さんが3つくらい尾長を釣って僕は釣れてなくて。どうしたら釣れますかって聞いたら『海を観察しなさい。あそこにおるだろう』っていわれたところを狙ったらシュッとウキがいきました。これまで釣った魚とはぜんぜん引きが違いましたね」

岩﨑が手にした、63cmの尾長グレの魚拓

自己記録63cmの魚拓。西森のアドバイスで仕留めることができた1尾。

夢のサイズを手にした岩﨑は、釣りに磨きをかけ、これまで3尾のロクマルを仕留めている。

高場の右に釣り座を移動

朝のうちは60cm近い尾長の姿も見えていたが、時間が経つにつれ魚そのものが見えなくなってきた。
奥の奥の西に位置するカベというポイントではたくさん見えているという仲間の話から、9時20分、カベに近い高場の右側に釣り座を移動した。ここは、足もとからハエ根が出ており、取り込みが難しそうな場所だが魚を掛けなければ始まらない。

斜め右前にマキ餌を打つとわらわらっと魚が出てきた。イスズミまじりに尾長の数も少なくない。ただ、右からの潮が足もとに当ててくるうえ、同じ向きの風がとても強く、仕掛のコントロールが難しい。おまけに足もとまですぐに仕掛が流されてくる。朝以上に釣りづらいが、魚の動きに目を凝らし少しずつ間合いを詰めていく。

大きく弧を描くアテンダーⅢを操作し、魚とやり取りする岩﨑

足もとから延びるハエ根にラインが当たらないようじっくりと竿をためて魚の力を奪っていく。アテンダーⅢのポテンシャルが発揮される。

9時45分、ついに掛けた。
ハエ根に沿って突っ込む魚をアテンダーⅢのバットパワーががっちり受け止める。数度の締め込みに耐え、うっすら魚の姿が見えた瞬間、竿が跳ね上がった。

「鈎をのまれてましたね。当て潮とこの風で仕掛が張れてませんでした」

無念のハリス切れ。しかし、1時間後にチャンスは訪れた。

ウルトラASDがもたらす安心感

足もと左から潮が払い出すタイミングで、斜め右前から流れてくる潮とぶつかり、いい感じの潮目ができる。竿2本ほど斜め前方にマキ餌を打ち、その潮下に仕掛を投入。風に邪魔をされてズレたのだろう、仕掛を回収してやり直し。そんなことを数回繰り返したあとだった。着水した仕掛がうまい具合に潮目に達してなじむ。ほどなくウキがシュッと動いた刹那、鋭いアワセが決まった。

高場から、当て潮とぶつかる潮目へ仕掛ける岩﨑

足もとの左から出るサラシがカギだった。当て潮とぶつかる潮目でうまく仕掛に張りを作り喰わせた。

アテンダーⅢの強靱なバットがファーストランを食い止める。ハエ根に沿って右へ左へ何度も突っ込むが、決してムリはせずじっくりやり取りを展開する岩﨑。やがて海面に姿を見せたのは尾長グレ。
取り込んだのはジャスト50cmだった。

「さっきバラしたあとは魚が沈んでしまったんですけど、いまはけっこう見えだしました。潮が当ててくるので仕掛があまり張れていない状態なんですが、払い出しが出たときに仕掛を張ったら当たりましたね。狙ったところに仕掛がちゃんと飛ばないなか、やり直してやり直してしっかり合わせたら結果が出ました。ウキ下はひとヒロくらいです」

50cmの尾長グレを手に、安堵の表情をうかべる岩﨑

悪条件下で手にした
価値ある1尾

待望の尾長にほっと一息の岩崎。一瞬のチャンスを一撃でものにする、精度の高い釣りを証明する1尾だった。

「ハエ根が出ている場所なので、糸が当たったなと思ったら、強く引っ張らないで慎重にやり取りをしました。アテンダーⅢがはじめの突っ込みを受け止めてしっかり胴に乗ってくれたので、安心してやり取りができましたよ」

魚に主導権を与えないウルトラアクティブサスデザインによる粘りと復元力がもたらす気持ちの余裕も、大きな力になったことはいうまでもない。

ウキが見えてからが勝負。竿の粘りがラインを守る

50cmの尾長グレを手に、安堵の表情をうかべる岩﨑

ウキが見えても簡単には取り込めない。出ているラインが短いこのときこそ、魚の引きに追随して竿が曲がるかどうかで取り込める確率が違ってくる。

50cmの尾長グレを手に、安堵の表情をうかべる岩﨑

仲間の差し出すタモに尾長が入った。鈎はがっちり上アゴをとらえている。しっかり仕掛が張れて即アワセが決まった証だ。

「60cmを超えるんはやっぱり夢なんでね。そういうのがすぐそこにいる。それが魅力じゃないですか。大きい尾長を釣ることと、G杯で爪痕を残すことが今後の目標です」

尾長釣りで鍛えた精度の高い釣りがトーナメントでどれだけ力を発揮するのか、デカ尾長の記録更新とともに岩﨑の活躍を期待したい。