チヌ釣りにおいてフカセ釣りの強豪がしのぎを削る広島エリア。
松田稔のスタイルを継承し、きっちりとウキ下を決めて、マキ餌で魚をコントロールし食わせていくのが圓山一樹だ。
「アテンダーⅢ」のチヌ号数を手に弁天島にアタックした。
まるやま・かずき
1970年生まれ。広島湾のチヌ釣りに精通するフカセ釣りのスペシャリスト。数を釣るより自分のスタイルを貫き通して納得のいく1尾を釣るのが信条。チヌのレコードは60.5cm。
アテンダーⅢの0.6号には、従来の0.6号にはない操作性があると絶賛する。
G杯の舞台にもなった弁天島
広島湾奥の草津港から渡船に揺られて15分。太田川などからの流入水がよく当たる弁天島は、1年を通してチヌがよく釣れる人気フィールド。G杯チヌの決勝でも使われた場所だ。ここで竿を出すのは圓山一樹。「広島のチヌなら圓ちゃんじゃ」と松田稔が認めるエキスパートだ。
フットワーク軽く磯を駆ける。ポイントは弁天島の西向きだ。
広島に生まれ育った圓山は幼いころから釣りに親しみ、チヌはもっぱらダンゴ釣りや夜のウキ釣りで楽しんでいた。フカセ釣りを始めたのは20歳のころ。雑誌の記事の影響だった。
「マキ餌に集魚材を入れてぽんぽん撒くスタイルでした。大きなウキを付けて遠くへ投げてね。それをやってみるとチヌがよく釣れる。それまでは餌を撒いて寄せて釣るっていう考えがなかったので面白かったですね」
遠投釣りにハマり、広島湾の磯に通い込んだ。経験を重ね腕に自信もついた。転機がおとずれたのは30歳を過ぎたころ。釣りの先輩に紹介してもらった松田稔との出会いだった。
自己記録は60.5cm
「松田さんの釣りはぜんぜん違いました。そんな遠くに投げる必要はないんやと。潮を見てマキ餌で魚は連れてこられる、狙ったところに寄せることができるんやと。それで見えるチヌを釣るわけですよ。僕らは『見える魚は釣れん』っていわれていたし実際釣れなかった。ところが松田さんはそんなことはないって、間近で見せて教えてくれたんです」
衝撃を受けた圓山は、松田スタイルのマスターに励む。オモリを使ってしっかりウキ下を決め、思ったところにマキ餌で魚を寄せて釣ることに専念した。
「潮を見て、マキ餌を撒いて魚の動きを見て、仕掛けや釣り方を自分から魚に合わせていく釣りになりました。それによって数がどうよりも狙った魚を釣る、大きい魚が見えたらそれを釣ることができるようにもなりましたね」
宇和海のデカチヌにも力を入れて毎週のように通い込むようにもなったのもそのころだ。
「当時の三浦は真珠養殖が盛んで、真珠筏の周りには60cmオーバーが無数におったんですよ。57、58、59cmっていうのはけっこう釣ってますけど、60cmオーバーは60.5cmが1尾。それで納得しました」
チヌ師憧れのロクマルを手にして、自分の釣りに自信を深めるとともに、自分のスタイルで納得のいく1尾を釣ることにますます力を注ぐようになっていった。
好みは軟らかい0.6号5.3m
チヌ釣りでは軟らかい竿が好みという圓山が、この日選んだのはアテンダーⅢ0.6号5.3m。
爽やかなブルーが映えるエンブレム周り。
チヌ号数にもスクリューシート
チヌ号数の0号、06号、1号もスクリューシートが採用される
道糸1.5号、ハリス1.25号、ハリは掛りすぎチヌの4号。ウキはBB-BBで、道糸とハリスの直結部に3Bと浮力調整用のG3、ハリスの中間にBを打ち、ウキ下を2ヒロで釣りを開始した。
潮が沖からヒタヒタと当ててくるなか、竿2本ほど前方にマキ餌を打ち、その手前に仕掛を投入。すぐにメバルがヒット。続いてチャリコ(マダイの若魚)が食ってきた。
「水温が高いので釣れるとしたら浅いタナかなと思ったんですが、チヌの気配がないですね」
ウキ下を2ヒロから竿1本と深くして中層狙いにチェンジするが、状況は芳しくない。
昼すぎには足元へ当てた潮が右へ流れだした。そこで圓山はハリスのガン玉Bをハリ上30cmまで下げ、そこにBを追加。ウキ下を竿2本と深くした。
竿2本ほど沖にマキ餌を打ち、その手前に仕掛を投入。竿1本ほど前で右に流れる潮に仕掛が入る。ウキがじわーっとシモり始めて間もなく、圓山のアワセが決まった。
正面から当てる潮がゆっくり右へ流れたときにチャンスが訪れた。
圧倒的な投げやすさ
胴からきれいな弧を描くアテンダーⅢ。魚の締め込みに追随して曲がり、止まるとすぐに起こす滑らかな復元力。見ているだけでなんとも気持ちいい光景だ。
やがてタモに収まったのは45cmクラスのチヌだった。
タモへとチヌを誘導する。あと少しだ。
狙い通りに食わせた1尾に笑みがこぼれる。
魚の誘導も思いのまま
「上層や中層がダメだったので、(水深)竿2本から3本への落ち込みの底近くを狙いました。ハリスにオモリを追加してハリ上まで下げて、仕掛をピンピンに張ってサシ餌を落ち着かせていたら、くんと前アタリがあって、そのあとぐーんと引っ張っていきましたよ」
狙い通りの1尾にしてやったりの圓山。青空に笑顔が映える。
狙い通りに食わせた納得の
自分のスタイルで狙い通りに喰わせた1尾に喜びを感じるという圓山。納得の45cmだ。
「アテンダーⅢは0.6号でも穂先がだれずにシャキッと張りがあってすごく投げやすいですね。思ったところに仕掛を打ち込むことができます。ライン操作もすごくしやすく、魚を掛けたあとはしっかり曲がって引きを吸収してくれるので、魚が怒らないし、連れて行きたい方向に付いてきてくれますね」
釣りの精度を高めて楽に魚が取れるアテンダーによって、圓山は納得のいく1尾との出会いを大いに増やすことだろう。
投入精度を高める先短設計
狙ったところへビシバシ投入が決まる。先短設計の効果は絶大。