先短・軸短で
攻撃力倍増
次世代トーナメント鮎鈎
21世紀のはじまりに誕生した
ロングセラー鮎鈎「Cue」
「Cue」という名の鈎を
知っているだろうか?Do you know the name hook "Cue"?
数あるがまかつの鮎鈎の中で、実に20年もの長きに渡るロングセラーとなった鈎である。
発売期間が長いというだけではない。Cueは新しいトレンドを作り出し、時代を牽引し、何より多くの鮎師に愛された名鈎中の名鈎である。
2000年
21世紀という新時代を迎えるにあたり、がまかつがリリースした鈎が「Cue」であった。この鈎はトータルバランスが取れた先短・短軸タイプの攻撃的な早掛け形状をしていた。当時では、生まれる時代が早すぎた異端の鈎であり、これほどの知名度を誇る鈎でありながら、実は売れ始めるまでに5年を要したという事実は、あまり知られていない。まだ、かろうじて昭和のよき時代の名残があった2000年のことである。
しかし、競技という実践の場において、表彰台の常連となり、発売から5年を経過するころにはトーナメントに欠かせない鈎として絶対的な地位を得るようになっていた。
「Cue」に時代が追いついたのだ。
Cueが絶大な支持をえた背景には、野鮎の性質の変化がある。性質というべきか、鮎そのものが変わってしまったのである。放流する鮎が、しつこく追いかけ回し、強烈な鈎掛かりで鮎師を魅了した湖産鮎から、オトリに近づき、たまにまとわりつく人工産鮎へと変化し、追いの弱い鮎を掛ける釣りへと変更せざるをえなかった。
「近づいた鮎がまるで
吸い付くように掛かる」と
評判だったCueのさらなる進化
Cueがラインナップから消えてから5年。これからの10年を牽引するCueの進化系としての鈎を探るCueプロジェクトが始動したのは必然であった。実は、「正直、このままの形で再販しても通用するのでは?」という意見もあった。しかし、現場で試してみると、掛かりの遅さに違和感があった。
そうして、原型から鈎先と軸を0.1㎜単位で微調整した10を超えるパターンから厳選していき、拘って設計した。
最終的に
Cueよりも鈎先と軸を
わずかに短くして
ベストな形状を導き出した。
鈎先の短さは、フトコロの広さにつながり、鮎と接触する機会を増やす効果がある。軸の短さは、ハリスが鮎に触れると軸を中心に錨が素早く傾倒することで、瞬時に鈎先が鮎の身に触れやすくなる。もちろん、鈎先も軸も短ければいいというものではなく、長いものには長いものなりにメリットがあるのだが、現代の、あるいは近未来の鮎にベストマッチなCueの進化系が完成した。
『Cue』スペシャルの 短軸設計を可能にした唯一の鈎素材 Gハードv2の存在。
この攻撃的な形状は、がまかつ以外では実用レベルの強度に到達することはできない。はっきり言って、文字通り、モノが違う。つまり、鈎の元となる素材が違うのである。通常、釣鈎は炭素をわずかに含んだ炭素鋼で作られるが、鮎鈎のように細く尖らせ、軽く硬いことが求められる場合には、より炭素を多く含んだ高炭素鋼が使われる。ここまでは、どのメーカーでも使用できる普及素材だが、その先の合金素材となると、あまりにも製造難易度が高く、容易に良い鈎を作ることは難しい。何せ、専用の製造設備がないと鈎にならないのである。
鮎鈎と磯鈎という、世界トップレベルの繊細な釣りの市場で最大の規模のシェアを誇るがまかつ以外では、なかなかGハードクラスの高性能な素材を扱うのは難しいだろう。高炭素鋼でもある程度の硬さや強さは出せるのだが、材料の特性的に、伸びやたわみが発生しやすく、衝撃に対し、瞬間的な変形が発生する。その変形を考慮して設計された鮎鈎ももちろん数多くある。
しかし、先短・短軸設計の鈎に変形は許されない。したがって、他社で似たような形状の鈎があったり、あるいはこれから出てくるかもしれないが、Cueスペシャルと同等の性能は望めないと思った方がいいだろう。
もちろん、線径も細い。
刺さりを最優先し、オトリの自然な泳ぎを追求するなら、鈎は軽いほうがいい。特に4本イカリを組む場合には、1本あたりの重さの違いは無視できない。そうして、細い鈎を作ろうとすれば、やはり高強度・高硬度のGハードⅤ2の恩恵が効いてくる。
こうしてCueスペシャルはCueよりもさらなる攻撃性を高め、がまかつ鮎鈎の中でも屈指の早掛け性能を備えた鈎として生まれ変わった。
この鈎が
トーナメントシーンの
主役になる日も遠くないだろう。