上村恭生「幻将天」

上村恭生

浅ダナのセット釣りと両ダンゴを得意とする。型より数重視で、その日、その池でもっとも釣れるパターンの解明に情熱を燃やす。G杯をはじめ、数々の大会で優勝・入賞を果たす生粋のトーナメンターである。京都府在住。

上村恭生「幻将天」画像1

 蒼き長尺のへら竿『幻将天』が力強く弧を描く。

 グッとためたところで、すんなり浮かせたのは尺2寸のへら。良型ながら実にスムーズに取り込まれた。幻将天。その開発者は現行品である幻煌天のパワーモデルだという。
「パワーモデル……か。たしかに力強い。しかし、同じ系統の竿ではない」

 生涯現役トーナメンターを目指し、日々、研鑽を重ねる上村がつぶやいた。
「幻将天は馬力が強いのではなく、トルクが大きいイメージ。タメが効く。曲がる。そして、粘る」

 硬質な張りが強調されているのではなく、むしろ、調子自体はマイルドでへらが掛かれば素直に曲がる。だが、曲がるほどに湧き出る粘り強さがある。
「幻将天は腕力で強引に連れてくるのではなく、ただためているだけで浮く」

 従来モデルの幻煌天は張りが強く腕でグイッと寄せる竿だった。幻将天はそういった操作をせずに、竿をためるだけでへらの方から無理なく寄ってくる。どちらが優れているという話ではないが、少なくとも同じ系統の調子という感じはしないという。
「ハリス切れも起きにくいだろう。それは巨べらを獲ることができるという意味でもある」

 続いて2枚同時に掛かったへらを寄せ、そのたくましさに上村は惚れた様子だった。

上村恭生「幻将天」画像2