海上釣堀で確実にブリを
手にするためのコツを解説
青物を攻め落とす
海上釣堀の主役であり、
ボス的存在のブリ
マダイをはじめシマアジやイサキ、イシダイ、ヒラメ、クエなどが泳ぎ回る海上釣堀。その中でも容姿の美しさや食味はもちろん引きの強さや狙ってもなかなか釣れない希少性からブリやカンパチ、ヒラマサ、ワラサと言った青物はスター選手と言っても過言ではなく、釣り堀に訪れたなら誰もが狙って釣りたい魚である。
特に年末に近づくと目玉として放流される10㎏を超えるような特大のブリは釣り師達の憧れで、釣り上げればヒーロー間違いなしだ。
活きた魚で狙う泳がせ釣りを始め匂いで誘う魚の切り身使い、シルエットで誘い出してスイッチを入れる方法。効果的な仕掛の使い方、ファイト中の竿使いなど青物を攻め落とす林が実践する11の戦術を公開する。
泳がせ釣りの餌と特徴
アジは泳がせ釣りで使われる餌の定番中の定番といえる。釣り堀で取り扱っているところも多く入手もしやすい。その反面みんなで使うと見切られやすくなる。
入手しやすくシラサエビと一緒に持ち運べるウグイ(ギンペイ)も、定番化している活き餌だ。淡水魚だが海水にも強く大半はアジよりもワンサイズ小さい。泳ぎがゆっくりなため時合のときはもちろん、喰いの渋っているときにも効果がある。ただサイズが小さいため活性の高いマダイに食べられてしまうこともしばしばある。
最近一部の釣具店で取り扱いの見られるサバヒーもいい。サイズ感はアジと変わらないがとてもよく泳ぎ回る魚だ。アジやウグイとは泳ぎ方が違うのでそれがいいアピールになるようで青物の目先を変えさせるのに最適だ。とにかくよく動きまわるのでしっかりと鈎の近くにオモリを打ってコントロールしてやる。
この他、稚アユやニジマス、カタクチイワシ、マイワシ、金魚などアジ以外の餌を持ち込むことが釣果アップに繋がる。
仕掛を水につけるのは5分まで
海上釣堀では見切りが大切。餌が活きて動いているとはいえ、アタリや追いまわされている気配が無いのに、仕掛を何分も放置していても釣れることはあまりない。仕掛を投入して餌が馴染んで2分以内でヒットするのがほとんどだ。そのため仕掛は長く入れても5分までで一旦上げて狙うタナや餌を変えてみる。
餌が追われて暴れるのに喰わない時は、鈎とオモリの距離を短くして餌の動きをセーブしてやると喰い付くこともしばしばある。
アタリが無ければ餌を変えて様子を見るが、変えても青物からの反応が無ければ他の釣りに切り替えて様子を見るようにする。
アジはヒレをカットする
元気なアジだと襲われた時に逃げ切ってしまうことが多々ある。そんな時は尾ビレを切って推進力を落として襲われやすくしてやる。また青物の活性が悪く一定のタナから動かないようなときは胸ビレをカットする。胸ビレをカットすることにより上下の動きを抑えることができるので、アジが一定のタナで泳ぎやすくなるので青物の目に留まりやすくなる。
まずは尾ビレを切って様子を見て、上方向へ逃げて逃げ切られるようなら胸ビレを切ってやる。尾ビレと胸ビレを切ることを林はよく「ダルマ」と呼んでいる。
いい釣りは最高の餌管理から
泳がせ釣りの餌は元気に泳ぐことが青物に一番アピールしてくれる。いい状態をキープしてやることが釣果へと繋がるため、活かしバケツの水温やエアーポンプの電池切れにはくれぐれも注意したい。
特に夏場は活かしバケツを炎天下に置くと水温が上がってしまう。
淡水魚だったら活かしバケツごと大き目のクーラーボックスに入れるといい。海水魚ならイケスに深く沈めるなど対策を講じたい。
泳がせ青物の時合いは放流のタイミング
1釣行の中で青物の捕食スイッチが入る瞬間、いわば時合いというのは必ず何度か訪れる。そのサインを見逃さないようにするのが釣果アップの秘訣であるが、なかなか海中の様子をうかがい知ることは難しい。
そんな中、青物狙いの最大のチャンスは、青物放流のタイミングである。スレていない青物が放流されれば、一目散に餌へとアタックしてくる。それを見た他の青物(イケスに残っていた青物)も、同族魚が餌を追い回すのにつられて捕食のスイッチが入るのだ。
泳がせで青物を釣るための ふたつの仕掛
青物を泳がせ釣りで狙う際、林は二通りの仕掛を用意している。1つはミャク釣りで、もう1つは胴付きスタイルのウキ釣り仕掛である。放流直後に青物が大きく動き回るときは竿下でもチャンスは多く、また宙層から上層で当たってくることも多いので、タナを自在に操れるミャク釣りで狙う。何匹か釣れたり、タナが底付近やイケスの中央に移ったと判断したら胴付きのウキ釣りにチェンジする。
ミャク釣りで狙う場合、オモリを打つ位置は鈎から10~20㎝上。オモリのサイズは餌の種類や大きさによってウグイなら3号、小アジなら5号、中アジなら7号が目安となる。
胴付きの場合、ウキ下は水深のマイナス50㎝から1.5mにセットすることが多い。オモリの支点は鈎から30㎝くらいにセットしておく。
胴付きのメリットはアジが底方向へ逃げる場合ウキの浮力が邪魔をし、上方向へ逃げる場合オモリの重さが邪魔するため餌の魚は一定のタナで泳ぎやすくなるのだ。青物が底から宙層まで動くときはオモリの支点をヨリモドシ側へ移動して餌が大きく動けるようにしてやる。
タックルを信じて強気のファイト
海上釣堀アルティメイトスペックの泳がせやズボ万能、くわせロングBといったモデルをはじめ、がまかつ海上釣堀シリーズの青物用の竿は、いわずもがな釣堀で狙える大型青物まで視野に入れて設計されているので、安心してファイトできる。
何より体感していただきたいのは、がまかつ竿独自の粘り腰だ。魚を掛けた後、ポンピングをせずにリールのドラグを1.5~2㎏に設定し、タックルを信じて上の写真のように竿尻を足の付け根付近に付けて一定の角度を保って欲しい。強靭な粘り腰に根負けした青物は竿のトルクによって力を奪われて勝手に上へと上がってくる。上がってきた分、道糸を巻き取り竿の角度を維持しつつ魚との距離を縮めていくのだ。
これがよく「がまかつの竿は溜めているだけで魚が浮いてくる」と言われるゆえんであり、竿に仕事をさせることによって釣り人は労せず青物を仕留めることができるのだ。
YouTube の『がまかつムービー』や『フィッシングDAYS』では、海上釣堀での青物との数々のヒットシーンをはじめアルティメイトスペック泳がせを使って海上釣堀で10㎏を超えるマグロを仕留めるシーンや、カセからのブリ釣りに持ち出して10㎏を超える大物を仕留めるシーンなども含め、竿のポテンシャルをいつでも見ることができる。
臭いで食わせる切り身餌
カツオやサバ、イワシの切り身は魚本来が持つ匂いをはじめ、付着する血や油分によって青物の嗅覚を刺激して喰わせる。嗅覚を刺激するため喰いの渋ったときは活き餌以上に釣れることも多々ある。
また、スイッチが入ってヒットした青物に何匹か青物が付いて回るようなときも魚の切り身が有効だ。特にそんなときはカツオが抜群にいい働きをする。一匹のままで持っていき、釣り場で三枚におろし、切り身にして使う。もちろん、内臓も大事な餌のひとつ。
コンパクトなキビナゴの使いどころ
キビナゴも青物狙いでは定番の餌である。ただ放り込むだけで釣れることもあるが、最も威力を発揮するのはキラキラと光るそのシルエットに反応させることだ。そのため仕掛を投入し馴染んだらチョンチョンと竿先を動かしてアピールしてやることはもちろんリールを素早く巻いて巻き上げで反応させるのも有効だ。また見える青物の鼻先でチョンチョンとアピールするとバクリと喰ってくることも多々ある。
鈎の刺し方はいろいろあるが、シルエットや動きに反応させるため目通しやアゴ刺しなど頭周辺に鈎を刺して、鈎の近くにオモリを打つとキビナゴがトリッキーな動きを見せるのでおすすめだ。
最近キビナゴは素のままの物はもちろん黄色や赤、青、紫といったカラーに染めた物も売られておりとてもカラフルだ。古くから海上釣堀では黄色がいいとされているが、実際にいろいろなカラーを使ってみるとその日のアタリカラーというのもあるので何色か買って仲間とシェアしてみるのも面白い。
青物が狂うカツオの内臓
1本物のカツオ(ソウダガツオ)から1つしか取ることのできないカツオの内臓は、希少な餌であるが青物の喰い付きは抜群である。捌きたての内臓は血まみれ状態で、この血が青物を刺激して狂わすのだ。これで釣れなければ今日の青物はダメだったとあきらめがつくほどだ。
使い方は内臓の硬い部分に鈎を縫い刺しにする。内臓単体で使ってもいいが、更に効果を発揮するのがアジなどの活き餌との抱き合わせだ。アジが泳ぎ回って匂いをまき散らすためヒット率は格段に上がる。
強制スイッチを入れるサンマ1匹掛け
青物を釣りたいときの最終兵器がサンマの1本引きだ。サンマの中骨を抜いて引っ張るとヒラヒラと動き、その動きに青物のスイッチが入る。
餌が大きくなるので、鈎も大きなものを使い、鈎先を出すのがコツ。投入したら一旦底まで沈めて巻き上げて青物を誘う。反応してくれればすぐに追ってきて姿を見せるがその瞬間に喰わせられないとヒット率は極端に下がってしまう。
二度三度やると見破られてしまうので一発勝負だが強制的にスイッチを入れて、1匹掛かればそこから釣れ続くことも珍しくない。