大会
2022年11月19日(土)
開催地
椎の木湖
競技時間
7:00~12:00
参加選手
76組152名
審査方法
ペア2名の総重量にて順位を決定
季節の変わり目の難しい地合の中、76組152名が熱戦を展開。
無類のパワー釣法が、椎の木湖の超大型を引きずり出す!
超激戦必至の椎の木湖
11月19日(土)、「令和4年度がまかつへらぶなチーム対抗戦 東日本大会」が、埼玉県羽生市「椎の木湖」に今年も76組152名を集めて盛大に開催された。
早朝は7℃で、この時期らしい冷え込みとなったが、日中は20℃まで気温も上がる予報で「こういう気温差のある小春日和の日は食い渋る」のジンクスを地でいく予感が会場を包む。
美しい朝焼けの中、コロナ対策も万全に10組ずつ分かれて受付、釣り座抽選、そして参加賞を受取り、桟橋へと入場していった選手たち。大会が再開された昨年同様、参加選手たちの高い意識が開催実現に大きく寄与していることを実感出来る朝となった。
そんな中、がまかつフィールドテスター棚網久審査委員長は、「人間が心地良いと感じるこういう小春日和の日は必ず食い渋る。それも単に渋いわけではなく、まだ夏も引きずっているから、渋いからといって単純に冬の釣り方が通用しない。かなり難しい釣りになると思いますよ。」と呟く。そしてこの棚網氏の言葉どおりの試合展開となった。
超・難解地合
全選手が整然と2号、3号桟橋に着き、準備を終えたのが6時30分過ぎ。密防止のために開会式は着座のまま放送で競技説明等が行われた。競技は7時から正午まで。以前は前半後半で釣り座交代をしていたが、ここもやはり昨年同様コロナ対策をふまえて移動をせず、同じ釣り座での5時間総重量一本勝負となった。またペア戦のため、2名の合計重量で順位が決定。
通称「がまペア」と呼ばれ、今や秋の大人気企画となっている同大会(関西では春に開催)だ。G杯のように個人戦ならではの緊張感ある大会ももちろんだが、ペア戦ならではの面白さ、楽しさ、戦略等があり、筆者も以前に参加していたことがあるが、参加した者にしか分からない独特な魅力がある。仮に自分が釣れなくても、相方がいるから簡単には諦められないわけで、そんな中で思わぬ突破口を見出したりも出来る。スキルアップという面でも、この「がまペア」は楽しく、タメになる大会なのだ。
さて、午前7時に競技が開始されると、通常の椎の木湖ならそこかしこで竿が立ち始める光景が見られるもの。しかし、この日はどこか雰囲気が違う。快晴無風の素晴らしい釣り日和とは裏腹に、序盤はほとんど竿を曲げる姿が見られない。
釣り方としては、椎の木湖での大会時の定番である短竿によるメーターウドンセット&チョーチンウドンセットが多いが、夏の大会と違うのは、11~13尺前後というやや長めの竿でのチョーチンウドンセットが目立つ点。これはどちらかといえば冬の竿の長さなのだが、「狙い方」は冬とはまったく異なり、バラケマッハ主体のバラケに大きなホタテのようなクワセエサを用いる「ホタチョー」を彷彿させる攻め方が多く、これは通常、夏の間は短竿で攻める釣り方。冬は粒戦を用いたバラケで「抜き」で攻めるが、夏のホタチョーを竿と下ハリスだけ長くした「秋バージョン」のような釣り方が目立った。
そう、棚網審査委員長が言及したとおり、「渋いからといって、冬のような釣りでも釣れない超難解地合」と言ったのがまさにそれで、メーター、チョーチン問わず、冬を意識した「抜き系」で攻めた参加者たちは、大いに苦戦を強いられることとなる。
参加ペアの中でも、ここ椎の木湖をホームとして圧倒的な実力を誇り、昨年覇者の石井寿&櫻井和弘ペアが序盤から確実に釣り始める。しかし、得意のメーターで攻める石井選手に聞くと、「究極の拾い釣り。バラケも2種類作って、何かを変えて1枚…といった感じ」と厳しい状況を解説してくれる。またチョーチンの櫻井選手も、「とにかく渋い」と、その表情にまったく余裕はない。
開始から1時間が経過して、まだ大半は0~2枚というかなり厳しい状況。そんな中、個人トップを走るのは8尺メーターの奥村達明選手で、素晴らしい釣りでチームを引っ張る。石井寿選手もさすがの釣りでトップグループを走る。
やはり結局はメーターが強いのか…?という中、重厚な釣りを披露していたのがホタチョーの塚越明夫選手。なんと15尺という周囲より明らかに長い竿とホタチョーにしては長めの下ハリス(60㎝)を駆使し、朝のスタート奪取に成功。深場からキロアップの超大型を抜きあげていたのだ。見たところペアを組む野市哲也選手も同様の釣り方で、ここは試釣によって入念な作戦を立てていたのだろう。9時30分には揃って竿を13尺へと短くしていたところからも、そのことが見て取れた。これもまたペア戦ならではの戦略、面白さだ。
12尺チョーチンの生天目弘次選手、13尺チョーチンから9尺に詰めた櫻井和弘選手、チョーチンからメーターに切り替えて粘釣する山村慎一選手…らが比較的目立って釣り続ける中、奥村選手、石井選手、梨本 淳選手らメーター勢も必死で食い下がる。しかし、9時を過ぎて一気に暖かくなる(暑いくらい)と、状況はさらに厳しくなる一方。まさに「小春日和は食い渋る」の典型的な状況に支配されていく。思い切って長竿の沖や段差の底釣りで新べらを狙いに出る選手もいるが、「ポツポツ」といった状況だ。
作戦的中、完璧な勝利。これぞペア戦の醍醐味
10時、11時…と、ポカポカ陽気の空とは裏腹に、食い渋りの度合いはさらに強まっていった。メーター、チョーチン問わず、短竿組はますます厳しくなっていき、完全なる拾い釣りの様相を呈していく。
そんな中、ますますペースを上げていくペアが1組だけいた。
野市哲也&塚越明夫ペアだ。
終了1時間前までは上位5組ほどが分単位で順位が入れ替わるダンゴ状態だったが、ここから2kg差以上でトップを走り始めたのがこのペア。
「ホタチョー秋バージョン」といった超強気な釣り。
朝イチは長い(深い)15尺でアタリ出しの早い大型を取りこぼしなく拾い、その大型のタナが1段上がる9時半からは揃って13尺にスイッチ。超難解地合に惑わされす、深くナジませ、強いアタリだけを取っていくパワー釣法を終始貫き、他の選手とは明らかに異質な魚を抜き上げ続けるのである。
そして、そのまま崩れることなくフィニッシュ…。
あれほどダンゴ状態だったにも関わらず、終わってみれば、2位の安藤嘉洋&石原弘三ペアにトータルで5kg以上の差を付ける快勝で、見事、初優勝を飾ったのである。その安藤&石原ペアも中尺竿によるチョーチンウドンセットで、やはり「超大型」に的を絞った釣りだった。そして終盤、ただひとりメーターで止まらず拾っていった山村慎一選手がさすがの釣りでチームを牽引し、3位表彰台に滑り込んだ。
2人で入念な試釣をし、作戦を立て、大会当日も息を合わせて遂行。「ダメだったらもうしょうがない」と謙遜していたが、まさにペア戦ならでは、「がまペア」ならではの楽しくも気持ちの良い勝ち方だったように思う。塚越選手は全体でも個人トップ釣果を記録し、ペアの野市選手もそんな塚越選手をサポートするかのように最後まで釣り続け、文句なしの「完全勝利」となった。
楽しい閉会式。そしてまた、来年も…
閉会式は十分に配慮しながら、広い駐車場の一角に設けられたスペースで全選手が集まって盛大に行われた。
上位3名の選手には記念のクリスタル盾と、「がまへら我楽」、「がまかつバリ1年分」等の豪華商品が惜しげもなく贈られ、表彰台に乗って満面の笑み。都祭義晃&小野弘晶がまかつフィールドテスターによる軽妙なインタビューも「がまペア」ならではで、ギャラリーと化した参加選手のみなさんも感心のため息あり、笑顔ありで聞き入っていた。
その他、上位ペアや飛び賞、大型賞などの発表に続いて、杉本智也フィールドテスターの音頭による楽しい抽選会が終わるまで、がまかつグッズ等の豪華商品が次々と手渡されていった。
参加選手みなさん一人ひとりの協力もあり、今年も無事に開催された「がまペア」。閉会式で棚網審査委員長が「魚の方は厳しい釣りになってはしまいましたが、天候は最高で、ペア戦ならではの非常に楽しい大会になったと思います。また来年も開催したいと思います」の言葉を締めに、参加者たちは笑顔で家路についていった。
<優勝 野市哲也&塚越明夫ペア>
- 竿 15→13尺(9時半より)
- ハリ 上がまかつ【ギガリフト】 11号 下がまかつ【アスカ】8号(野市)
- ハリ 上がまかつ【ギガリフト】 13号 下がまかつ【アスカ】9号(塚越)
- 道糸 1.2号 ●ハリス 上0.8号 下0.6号(野市)上下0.6号(塚越) 10―60㎝(野市) 8ー60㎝(塚越)
- ウキ 夢彦(磯貝一彦作)グラスムクT 25㎝ カヤB10.5㎝ カーボン足9㎝ エサ落ち目盛は全15目盛中3目盛沈め
- バラケ 【バラケマッハ】800cc+【BBフラッシュ】100cc+水200cc+【BBフラッシュ】追い足し(野市)
- バラケ 【バラケマッハ】800cc+【BBフラッシュ】200cc+水200cc(塚越)
- クワセ 【魚信】2分包+水190ccでレンジ作り(野市)
- クワセ 市販タピオカ粉60g+水150ccで鍋作り(塚越)
※釣り方はともに「ホタチョー」。2人で試釣した結果、朝はアタリ出しの早い長めの15尺から入り(水底から約1m上を狙うイメージ)、大型のタナが上がる9時30分からは13尺に切り替える作戦。当日はかなり渋かったが、超大型一本に絞り、この作戦を押し通した。基本は夏場の「ホタチョー」の竿を長く、下ハリスを長くしたイメージ。1度は沈没気味まで深くナジませ、そこから軽くアオって待ち、「ドン」という強いアタリだけに的を絞った(真夏のような消し込みではなく、2目盛が入るアタリ)。渋くても変に下バリを小さくしたりせず、信じて打ち抜いたのが勝因。大型が揃った。