G杯 2019

第38回G杯争奪全日本がま磯(チヌ)選手権 大会結果報告

2019-01-14

大会結果

大会

第38回G杯争奪全日本がま磯(チヌ)選手権

主催

株式会社 がまかつ

開催日

2019年9月1日(日)~3日(火)

開催地

広島県 広島湾一帯

第38回G杯争奪全日本がま磯(チヌ)選手権が、9月1日(日)・2日(月)・3日(火)広島県広島湾一帯で開催された。全国14会場の予選を勝ち上がってきた31人とシード&推薦選手4人の計35人が覇を競った。決勝では冷静に釣り場を分析する家島予選1位・車孝信(50・富山県射水市)と、絶妙なトークと一瞬のひらめきで難局を打開する富浦2位・青木重人(53・東京都港区)が対戦し、総重量1,310gを釣り上げた車が勝利し、北陸に初のG杯チヌをもたらした。(文中・敬称略)

【ヒーロー 車 孝信選手】

車 孝信選手 顔写真

突如おそわれた
決勝のプレッシャー

もっとも気持ちが落ち着かなかったのが決勝戦だった。決勝の地は「弁天磯南」。最初に足を踏み入れたのは車だった。青木はなかなか到着しなかった。巌流島ならば待つ身の小次郎だ。気持ちはわさわさしていた。

:準決勝までは冷静にやれた。ところが決勝だけ違ったんです。決勝会場には審査員だけじゃなくて、参加者全員と報道の方々が待ち構えていた。一気に心拍数が上がって体が思うようにいうことを聞かなかった。

決勝になると審査員が増えて、サオとイケス以外は「持ちましょうか」「冷たい飲み物はいかがですか」「困ったことがあったら遠慮なくいってください」。その対応に困惑した。自分のペースが握れない。冷静になろうと思うと心のひずみが浮き出てしまう。
そこで自分を取り戻せたのは、これまでの釣りスタイルだった。自分の意志で始めた釣りは中学生のころ、ブラックバス釣りが最初だった。ワームで誘う釣りよりも、水面でアピールするプラグ。魚のいる場所に仕掛けを持っていくのではなく、魚に振り向かせる釣りが車スタイルだと思っている。
チヌ釣りも最初の3年はまったく釣れず、それでも意地で続けた。ちょこちょこと陸っぱりで釣れるようになって、地元の釣り場で熱中した。そして13年前、フカセ釣りに転向したのだ。

:落とし込みは魚の目の前に行く釣り。フカセは魚を呼ぶ釣り。フカセがやっぱり性に合っているんだと思います。

魚に媚(こ)びず、魚と対峙(たいじ)する。決勝前半残り10分、釣り座を1mほど右側にウキがシュッ、と沈んだ。1匹はキャッチできたが、前半戦は無情にも終わってしまった。

:後半、青木さんにこの筋を読まれたら負けると思った。残り1時間ずっとヒヤヒヤしていた。

攻めて勝利をつかんだが、心中はずっと綱渡りだった。試合終了の合図で初めて笑顔をみせることができた。
これで北陸地区では磯チヌではG杯38回目にして初めての優勝になる。

:今まで、勝てなかったのは、日本海には干満の差がなくて、太平洋側には海面変動がある。そこを言い訳にしていた。そうじゃない。これから先、北陸出身者では全国に通じることを伝えていきたい。自分から魚を寄せることの重要さを知ってもらいたい。
チヌの行動を先回りして、最後は鋭いがまかつの鈎に食いつかせる。令和元年、車スタイルがスタンダードになる礎(いしずえ)が固まった。

【竿】振り抜け、コントロール性能、遠投力が飛躍的に向上
柔軟性とパワーを兼ね備えたオールラウンダー
がま磯 チヌ競技スペシャルIII 0.6号 5.0m

発売直後から購入して使っています。5mだと持ったときに重さの負担も感じず、振り心地に関しては張りがあって魚を掛けるとすぐにその良さが分かります。胴調子というか粘ってくれる。今までも3kgを超えるチヌもこの竿で獲ることができた。パワーは申し分ないですね。5.3mも使ったことがありますが、ハリス2ヒロ強までの釣りが多いため、5mの方がしっくりくるみたいです。

【ハリ】高強度素材「A1」採用
「今まで折れたり曲がったりがない」刺しエサがずれにくい「ケン付き」
A1 遠投チヌ 3号

遠投することが多い釣り場だと、ケン付きだと刺しエサがずれにくいと思っています。なので、使用するほとんどが遠投チヌですね。号数は刺しエサのサイズに合わせているため、自然と3号あたりになりますね。それとA1素材の強さもポイントが高いです。今まで折れたり曲がったりというトラブルがない。信頼できる鈎なので好んで使っています。

【車選手 プロフィール】
車 孝信(くるま・たかのぶ)
1968年(昭43)10月10日、富山県高岡市生まれ。釣りは父親と一緒に興じたフナが最初。中学生からルアーのブラックバスやシーバスに没頭する。就職とともに20歳から5年間は釣りのない生活だったが、落とし込みのチヌ釣りにはまって、釣りを再開。競技は37歳から。家族は妻と2女。好物は焼肉で苦手はらっきょう。172cm、61kg。

雑感

決勝戦雑感
準優勝の青木は決勝最後の3投で大勝負を仕掛けていた。準決勝まで周囲を爆笑の渦に巻き込むつぶやき戦術でペースをつかんでいった。決勝について、これまでしゃべりすぎたのか「ちょっと気が遠くなりそうな感じ。体力がもう限界でした」と振り返った。ピンポイントでチヌの居場所を探ってみたが反応なく、最後10分で一か八かで練りエサをスーパーボールぐらいの大きさでハリにつけて投入して、アタリをとった。続く2投もウキを沈めたが、最後はベラに終わり「私らしいですね。来年はシード。富浦予選から元気のいい若い選手が出てきてほしい」と最後は真面目に答えていた。
3位決定戦雑感
3位決定戦で勝利した桑原は「最後負けて終わるのではなく、勝って終われて良かった」とほっとした表情をみせた。決勝トーナメントでは準決勝でノーフィッシュだったものの、準々決勝で3,100g(3匹)、3位決定戦では1,360g(1匹)とすべて大物を釣って、九州代表の意地をみせた。「シードで1年間、十分勉強できる。この大会で自分の弱点もわかったので、来年の大会では成長した姿をお見せしたい」と胸を張って表彰会場を後にした。
岩本敬昭審査委員長の話
私は島根の出身だから、これまで優勝者を多く輩出してきた中国地区の選手には「何やっとんじゃい」と言いたい気持ちはある。しかし、今回のように生まれも育ちも北陸地区の車君が初優勝、そして準優勝には軽妙な話術を駆使する東京の青木君。全国の選手の力の差が接近してきたんじゃろ。これはとても素晴らしいことで、今後、北陸や関東の選手も、そしてその他の地区の選手も本気でG杯を奪いにくる勢いがついたのんじゃないかと感じました。ただ、G杯は真剣な勝負と、全国に友達の輪を広げていく親ぼくの場でもある。これから先もG杯は続いていきます。また、来年も面白い熱戦を期待しております。

談話

予選6組1位・山本哲也(50・今治沖I 1位・松山市)
試合は不安ばかりで心臓はドキドキ。力を入れすぎて両腕がつってヘロヘロでした。エサは練りエサが効果抜群。針に薄くコーティングするイメージで流れに乗せて斜めに入水させる作戦が当たった。
予選3組1位・桑原将太(37・九十九島予選3位・佐世保市)
江藤さんの弟さん(・憲幸選手)に当たらなかったのが助かりました。予選の第1試合で残り15分に1匹釣れて勝ち越せた。この初戦でリズムをつかめて自分の釣りができたのが良かったんですかね。
予選2組1位・車孝信(50・家島予選1位・射水市)
第1試合が干潮からで、タモ網がちゃんと届くかと心配してしまいました。1匹1匹を大事に慎重に取り込もうと心掛けた。予選第1試合は波止で、気持ちよく複数枚釣れたので、波に乗れました。
予選1組1位・西田英司(45・牛窓予選1位・三原市)
予選では包ケ浦の波止が第2試合でした。第1投から50cmオーバーが釣れて、もうその後ポンポンポーンと掛かりました。どうやら、チヌが行列をつくってくれていたみたいですね(笑い)。
予選4組ワイルドカード・青木重人(53・富浦予選2位・東京都港区)
初の広島で心配でしたが、これ、いつもシブい富浦と同じだ、って。で、予選ではタモ網の柄を宿泊地に忘れたので、全部抜き上げました。がまかつさんの竿、しなりが強くて最高です。
予選1組ワイルドカード・小川達矢(38・昨年3位・出雲市)
予選会場になった宮島付近の海域はどうも苦手なんです。3試合目の包ケ浦の波止で残り5分で大型を釣り上げて、気合いが入りました。最後の第4試合は意地だけで釣り切りました。
予選5組1位・太田賢一(48・若狭大島予選3位・金沢市)
予選第4試合の残り1分、そう399分目でで釣れたんです。残り10分あると勘違いしていて、大喜びしていたら「残り1分ですよ」と言われた。魚が掛からなかったら完ぺきな失格でしたね。
予選4組1位・沖永吉広(42・推薦、2013年度、2015年度優勝・世羅町)
最後の第4試合がキツかった。相手も釣れていなくて、0-0の状況。もう万策尽きていました。考え方を変えて、えーい遠投したれ、と。それで釣れた。完全なギャンブルでした。

決勝戦

順位No.氏名代表会場重量(g)匹数
優勝12車 孝信家島1,3102
準優勝24青木 重人富浦00

三位決定戦

順位No.氏名代表会場重量(g)匹数
3位17桑原 将太九十九島1,3601
4位26太田 賢一若狭大島00

準決勝戦 結果

No.氏名代表会場重量(g)匹数結果
17桑原 将太九十九島00 
12車 孝信家島1,3101
No.氏名代表会場重量(g)匹数結果
24青木 重人富浦5651
26太田 賢一若狭大島00 

準々決勝戦 結果

No.氏名代表会場重量(g)匹数結果
31山本 哲也今治I1,1404 
17桑原 将太九十九島3,1003
No.氏名代表会場重量(g)匹数結果
12車 孝信家島2,8308
2西田 英司牛窓2,2303 
No.氏名代表会場重量(g)匹数結果
24青木 重人富浦2,7404
5小川 達矢シード1,5002 
No.氏名代表会場重量(g)匹数結果
26太田 賢一若狭大島1,1602
19沖永 吉広推薦1,0001 

予選リーグ戦結果

【1組】
No.氏名No.123456結果
1當山康彦
西崎一文字
勝敗  1-3-0
ポイント 00100 10
重量 007950 795
2西田英司
牛窓
勝敗  3-0-1
ポイント10 310 1033
重量790 0865 5,4307,085
3岡本博明
徳山
勝敗  1-1-2
ポイント103  3016
重量3600  00360
4石川直也
西崎一文字
勝敗×  0-3-1
ポイント02  035
重量0285  00285
5小川達矢
シード選手
勝敗  3-0-1
ポイント10 310 1033
重量1,140 01,540 1,0753,755
6戸田雅智
牛窓
勝敗 ×× 1-2-1
ポイント 21032 17
重量 4804450465 1,390
【2組】
No.氏名No.789101112結果
7大倉雄一郎
茅ヶ崎
勝敗  1-0-3
ポイント 31033 19
重量 058000 580
8平野卓哉
尾鷲
勝敗  0-0-4
ポイント3 33 312
重量0 00 00
9菅野雅之
シード選手
勝敗  0-2-2
ポイント03  306
重量00  000
10長浜卓人
西崎一文字
勝敗  0-1-3
ポイント33  309
重量00  000
11木原 滋
若狭大島
勝敗  0-1-3
ポイント3 33 09
重量0 00 00
12車 孝信
家島
勝敗  3-0-1
ポイント 3101010 33
重量 01,0302,140760 3,930
【3組】
No.氏名No.131415161718結果
13澤辺数吉
尾鷲
勝敗  1-2-1
ポイント 01030 13
重量 094000 940
14江藤憲幸
九十九島
勝敗  ×2-2-0
ポイント10 100 222
重量845 3,8800 9105,635
15兵藤仁志
男鹿
勝敗×  ×1-3-0
ポイント02  21014
重量02,495  7601,3504,605
16江藤義紀
徳山
勝敗  1-1-2
ポイント310  0316
重量0700  00700
17桑原将太
九十九島
勝敗  ×3-1-0
ポイント10 1010 232
重量685 1,540525 2,2755,025
18木村雅俊
家島
勝敗  2-1-1
ポイント 100310 23
重量 1,480002,760 4,240
【4組】
No.氏名No.192021222324結果
19沖永吉広
がまかつ推薦
勝敗  3-0-1
ポイント 3101010 33
重量 02,9051,8301,780 6,515
20溝部秀幸
徳山
勝敗  2-1-1
ポイント3 1010 023
重量0 2,6502,730 05,380
21門脇 正
今治II
勝敗  0-2-2
ポイント00  336
重量00  000
22斉藤和久
須崎II
勝敗××  1-3-0
ポイント22  10014
重量1,050835  98502,870
23大和立幸
尾鷲
勝敗 × 1-2-1
ポイント0 32 1015
重量0 0655 1,1301,785
24青木重人
富浦
勝敗 × 2-1-1
ポイント 103102 25
重量 96504301,055 2,450
【5組】
No.氏名No.252627282930結果
25大西翔太
九十九島
勝敗  1-0-3
ポイント 10333 19
重量 780000 780
26太田賢一
若狭大島
勝敗  ×2-1-1
ポイント0 1010 222
重量0 8551,365 6952,915
27村上裕昭
牛窓
勝敗  0-1-3
ポイント30  339
重量00  000
28清川 学
男鹿
勝敗  ×0-2-2
ポイント30  238
重量00  8150815
29児嶋秀一
シード選手
勝敗  1-0-3
ポイント3 310 319
重量0 02,560 02,560
30亀岡 昇
茅ヶ崎
勝敗  1-0-3
ポイント 10333 19
重量 1,185000 1,185
【6組】
No.氏名No.3132333435 結果
31山本哲也
今治I
勝敗  4-0-0
ポイント 10101010 40
重量 1,5301,6151,6751,350 6,170
32酒井田定浩
男鹿
勝敗   1-2-1
ポイント0 30  13
重量0 00  1,810
33永野雅大
須崎I
勝敗   2-1-1
ポイント03  10 23
重量00  660 1,775
34高橋元樹
若狭大島
勝敗   2-1-1
ポイント010  10 23
重量0485  580 1,065
35鳥井義弘
家島
勝敗   0-3-1
ポイント0 00  3
重量0 00  0

※敬称略

表の見方

 
勝敗
ポイント
重量(g)
  • ☆チヌを釣って勝った場合=勝敗欄○印で10ポイント
  • ☆チヌを釣って負けた場合=勝敗欄×印で2ポイント
  • ☆チヌを釣って引き分けた場合=勝敗欄△印で5ポイント
  • ☆チヌの釣果なしで引分けた場合=勝敗欄▲印で3ポイント
  • ☆チヌの釣果なし負けた場合=勝敗欄≠印で0ポイント

その他の会場の大会結果