G杯 2024

第42回G杯争奪全日本がま磯(チヌ)選手権

2024-05-22

大会結果

 

第42回G杯争奪全日本がま磯(チヌ)選手権

 

開催日

2024512日~514

開催地

岡山県 牛窓、小豆島一帯

参加選手

42

審査方法

釣り上げた25㎝以上のチヌの総重量にて決定

 

 

 第42回G杯争奪全日本がま磯(チヌ)選手権が、5月12日(日)~14日(火)に岡山県牛窓、小豆島一帯で開催された。日本のエーゲ海とも称される牛窓周辺は、瀬戸内、西日本でもチヌの魚影の濃い有数のフィールドとして知られ、事前の情報でもよく釣れており、全国の頂点を極めるのに相応しい舞台。12日は発会式。13日に予選リーグ、14日に決勝トーナメントが行われ、シード選手、がまかつ推薦選手、そして全国の熾烈な予選を勝ち抜いたチヌフカセ釣りのトップランナーともいえる42名の精鋭によって熱戦が繰り広げられた。

 

 予選リーグは6名ずつ7組に分かれ、それぞれ4試合を展開。試合時間は各120分で25cm以上のチヌの総重量で勝敗を決める。前日からの雨が昼前まで降り続くタフな状況のなか、場所によってムラがあり、干満を含む瀬戸内特有の潮の動きが釣果を大きく左右する結果に。1尾のチヌをいかにして出すかというシビアな戦いも見られたが、事前情報通りの好釣果で釣り合いになる試合もあった。なかでも5組、6組の小豆島エリアはよく釣れており、外輪勝也選手は総重量14,760gを釣り上げて筆頭格。一方で7組は1尾をいかに拾っていくかという厳しい状況。とくに予選1回戦、2回戦の引き潮の時間帯は、潮が予想以上に動かないこともあり、チヌの活性が上がらなかった模様。前日からのまとまった雨も影響しているのではないかと思われた。湯浅健司審査委員長は、「予想していたほどには釣れなかったように思います。また、思っていたほど潮が動かなかったことも影響したのではないでしょうか。しかし、このような状況でも結果を出されているので、さすが全国の予選を勝ち抜いた方々だと思います」と予選を総括。

 

 

 こうして各組の1位である笹野三喜男(若狭大島予選代表)、鰰澤拓也(家島予選代表)、大和立幸(尾鷲予選代表)、長谷川一也(男鹿予選代表)、外輪勝也(徳山予選代表)、久保河内慶(シード)、堀江直道(シード)の選手と2位の上位1名(ワイルドカード)である南康史(がまかつ推薦)の計8名の選手が決勝トーナメントの準々決勝へと駒を進めた。

 

 決勝トーナメントの試合時間は各120分。前日とは違う穏やかな日和のなか、まずは準々決勝が行われた。1組は笹野選手と南選手の対戦。予選1組で釣果なしの引き分けに終わった2人の再戦となったが、1,020g4,480gで南選手が勝利。2組の久保河内選手と長谷川選手の対戦は互いに1尾ずつと譲らず、710g470gで久保河内選手が突破。3組の鰰澤選手と大和選手の対戦は、1,090g2,030gで大和選手が後半に入っての逆転勝利。4組の堀江選手と外輪選手の対戦は0g4,720gで、潮を味方につけた外輪選手が勝ち上がった。

 

 準決勝は南選手と久保河内選手、大和選手と外輪選手という組み合わせ。

 G杯チヌ最多となる4度の全国制覇を誇る南選手と、前回大会3位入賞によってシード選手として勝ち上がった久保河内選手という実力者同士の対戦は青島の島尻で行われ、1匹のチヌをいかに拾っていくかが勝敗を決する厳しい戦いとなった。まず前半リードを奪ったのは久保河内選手。限られたチャンスを逃さずに食わせたのは良型のチヌ。竿を大きくしならせて慎重に取り込んで優位に試合を進めることになった。一方、追う展開となった南選手。食いが渋いなかで苦しい戦いを強いられるが、集中力を切らすことなく自らのスタイルを貫いてチャンスをうかがう。流れの変化を見極め、チヌのアタリを確実に拾い、前半のうちに1匹釣り上げて反撃の狼煙を上げた。

 数こそ1尾ずつながら、重量では負けていることを把握していた南選手。硬直状態が続く後半戦も、フィールドの状況を読み取りつつ、攻め方を変えながら試行錯誤を続ける。そして、残り時間30分ほどになったところで、流れの変化を読み取り、ワンチャンスを物にした南選手が執念の1尾を仕留めて尾数で逆転。検量の結果、南選手が1,600g1,200gの久保河内選手を上回り決勝進出を決めた。

 予選リーグ、準々決勝と、実績のある名手たちを破って勝ち上がった大和選手と外輪選手という若手同士の対戦は黄島の早崎で行われた。前半に大和選手が1尾釣り上げてリード。その前後から磯の周りには流れ藻などの浮遊物が溜まり釣りづらい状況に。さらにはスナメリの群れが回遊しており、タフな展開となった。

後半に入り外輪選手が待望の1尾目を釣り上げると、すぐさま大和選手が2尾目となる良型をキャッチして優位に試合を進める。しかし、この時合をものにした外輪選手が2尾目、3尾目を立て続けに釣り上げて逆転に成功した。このまま試合終了を迎えるかと思われたが、タイムアップの8分前に大和選手が3尾目を釣り上げて数で並ぶ劇的な展開となり、勝敗は検量に委ねられることとなった。運命の結果は、大和選手が1,990gで外輪選手が2,030g。わずか40gという重量差で、外輪選手が決勝に進出した。

 

 

 

 決勝は南選手と外輪選手の勝負となり、午前115分にスタート。舞台は青島の豪洞。広い磯で2人が釣り座を構える東向きと南向きは足元から水深があるポイントで、チヌの魚影は濃い。南選手が入った左側は左から右へ、外輪選手の入った右側は右から左に潮が流れ、境界線あたりで合流して沖へ出ている状況のなか、開始してしばらくは緊張感の漂う静かな戦いとなった。

外輪選手のスタートは管付き脚長ウキの3Bを使用し、ハリスは1.5号を2ヒロほど取り、道糸とハリスの直結部の下にG3のオモリを等間隔に3つ打つ。大会を通して使用した仕掛けで、状況に応じてオモリの間隔を調整して攻め方を変えていた。

一方の南選手は0号の円錐ウキを使用し、ハリスは1.5号を3ヒロほど取り、ウキ下(直結部から)50㎝ほどのところにG7のオモリをひとつ打った仕掛けで、ハリは大会を通して「スパイクチヌ」の2号を使用していた。

張り詰めた空気のなか、最初に竿を曲げたのは外輪選手。これは本命ではなくマダイだったが、さらに15分ほど経過したところで愛竿が美しい弧を描き、待望の1匹目を玉網に滑り込ませた。「狙いどころが難しくて…。手前にはシモリがあるんだろうなと考えて、手前から少しずつ沖へと探って行きました。こちらの釣り座でなんとか1匹出てくれればと考えていたので、うれしい1匹でした」と外輪選手。潮が沖に出るタイミングを逃さず、貴重な1匹を釣り上げてリードを奪った。

 

 一方の南選手は、左から右へ流れて沖へ出る潮の中を丁寧に探っていく。短時間の勝負ということもあり、流れの中でエサを拾う活性の高いチヌを狙うアプローチを貫いた。しかし、いい流れは続かず、サシエが残ってくる状態が続き前半戦終了の時間を迎えた。

外輪選手1尾、南選手0尾で釣り座を交代して後半戦に突入。潮の動きが鈍くなり、反応のない時間帯が続くなか、両選手とも集中力を切らすことなく手返しよく仕掛けの投入を繰り返す。「後半は引かれ潮が流れれば何尾かは拾えるかなと思っていたんですけど」と南選手。後半、南選手が入った釣り座は、普段なら右から左へ引かれ潮が流れるのだが、このときは沖から当ててくる潮になり、次第に流速を増す厳しい状況となった。

 外輪選手の入った釣り座も後半開始からしばらくの間は潮が動かず、反応の出ない状況が続いていたが、潮が左に動き出すと魚の活性が高くなりエサが盗られ始めた。このチャンスを逃さなかった外輪選手は、仕掛けを流す距離を変えながらアプローチを繰り返し、終了15分前に勝利を手繰り寄せる2尾目を仕留めた。さらには終了5分前にだめ押しの3尾目を釣り上げて勝負あり。試合終了の合図とともに、外輪選手は喜びの感情を爆発させた。

 両選手ともタフな状況に苦労しながらも、普段の釣りを丁寧に実践。結果は3尾で1,580gのチヌを仕留めた外輪選手が勝利。潮を味方につけ、少ないチャンスをモノにして、自身初となるG杯優勝の栄冠を手にした。

 決勝の舞台の近くにある青島の大戸では、大和選手と久保河内選手の3位決定戦が行われ、こちらも接戦が繰り広げられた。前半、左に入った大和選手が当て潮の中で遠投して、後からマキエに合わせるように誘い、釣り座を交代する前の短時間に3尾のチヌを釣り上げてリードを広げる展開。交代後はお互いに中盤まで釣果がなかったが、残り30分を切ったところで久保河内選手が1尾目を釣り上げると、終了の5分前にも2尾目を手にして激しく追い上げる。検量の結果、久保河内選手の2尾で1,490gに対して大和選手が3尾1,840g。接戦を制した大和選手が見事3位入賞を果たした。

 

 

 

 

 

優勝 外輪勝也選手のコメント

 エリア的に浅いと思っていましたので、2ヒロ強のハリスでしっかりタナを決めて釣りました。あとはガン玉の位置を変えることでサシエを漂わせたり、止めたりして反応をうかがうなど、自分なりに考えて釣りました。前半は少し沖へ出ていく潮で1匹釣りましたが、厳しそうだったので1尾拾えればいいという感じで狙いました。なんとか1尾釣れて良かったです。後半戦は終了間際になって潮が変わると、ボラが出てエサが盗られるようになりました。このタイミングで攻める距離を1投ごとにずらし、サシエもローテーションして探り、2尾釣ることができました。3尾目は沖に出るいい潮に素直に流すことを心がけて狙いました。1尾目、2尾目は練りエサ、3尾目は加工オキアミで釣りました。

 ホームグラウンドは広島湾で、フカセ釣り歴は20年になります。これまで多くの方に教えていただきましたが、師匠というと今大会にも出場されている石丸敏文さんと井手史仁さんです。次回大会については、2連覇と言いたいところではありますが、岡山のチヌに愛され、楽しく釣りができればと思っています。本当に勝てて良かった!うれしいです!

 

 

準優勝 南康史選手のコメント

 決勝では自分の釣りにこだわり過ぎて、釣りきれなかったですね。先に左の釣り座に入ったのですが、いい潮が出ていたので、潮の中にいる活性の高いチヌが出ないかなと思いアプローチしました。短時間の釣りということもあっての選択でしたが、この釣りを長くやり過ぎたのではないかと思います。後半に入って釣り座を代わってからは、普通ならいい感じの引かれ潮が流れる釣り場なので、何尾か拾えればいいと思っていました。ところが、妙な当て潮で激流となってしまったため、全く自分の釣りができませんでした。

来年はシード選手として出場できますので、また優勝を目指して頑張りたいと思います。

 

 

3位 大和立幸選手のコメント

 3位決定戦は、前半左に入ったのですが、釣れるとしたらこちら側だろうと考えて攻めました。手前から探ったのですが、仕掛けの角度も悪くて反応がなく、狙い方を変えました。

当て潮の中で遠投して、後からマキエと合わせるようにしたのですが、この攻め方が良かったのか3枚続けて釣ることができました。ただ、交代する3分前に仕掛けを回収したらハリの上がキンクしていて、釣り座を交代したらすぐに釣られてしまうのではないかとドキドキしていました。後半戦の終了間際になって久保河内選手が2匹釣り上げ、型も良かったので不安でしたがなんとか勝つことができました。準決勝では優勝した外輪選手に40g差で負けて悔しい思いをしました。来年の大会で対戦することがあれば、ぜひリベンジしたいですね。

順位ゼッケン氏名代表会場
優勝27外輪勝也徳山予選代表
準優勝1南康史がまかつ推薦
第三位13大和立幸尾鷲予選代表

※敬称略

決勝戦

ゼッケン氏名代表会場合計重量(g)合計尾数順位
1南康史がまかつ推薦00準優勝
27外輪勝也徳山予選代表1,5803優勝

※敬称略

三位決定戦

ゼッケン氏名代表会場合計重量(g)合計尾数勝敗
13大和立幸尾鷲予選代表1,8403第三位
31久保河内慶シード選手1,4902第四位

※敬称略

準決勝1組

ゼッケン氏名代表会場合計重量(g)合計尾数勝敗
1南康史がまかつ推薦1,6002
31久保河内慶シード選手1,2001

※敬称略

準決勝2組

ゼッケン氏名代表会場合計重量(g)合計尾数勝敗
13大和立幸尾鷲予選代表1,9903
27外輪勝也徳山予選代表2,0303

※敬称略

準々決勝1組

ゼッケン氏名代表会場合計重量(g)合計尾数勝敗
5笹野三喜男若狭大島予選代表1,0202
1南康史がまかつ推薦4,4807

※敬称略

準々決勝2組

ゼッケン氏名代表会場合計重量(g)合計尾数勝敗
31久保河内慶シード選手7101
23長谷川一也男鹿予選代表4701

※敬称略

準々決勝3組

ゼッケン氏名代表会場合計重量(g)合計尾数勝敗
11鰰澤拓也家島予選代表1,0901
13大和立幸尾鷲予選代表2,0304

※敬称略

準々決勝4組

ゼッケン氏名代表会場合計重量(g)合計尾数勝敗
42堀江直道シード選手00
27外輪勝也徳山予選代表4,7206

※敬称略

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