開催日
2024/11/16
開催地
椎の木湖
競技時間
1回戦 7:00~10:00 2回戦 11:00~14:00
参加選手
83組166名
審査方法
ペア2名の総重量にて順位を決定
83組166名が椎の木湖に集結。
段底で爆発した木村知広選手がチームを優勝に導く!
令和6年度がまかつへらぶなチーム対抗戦東日本大会が、11月16日(土)、埼玉県羽生市「椎の木湖」にて83組 166名が参加し、開催された。
大会に先立って大規模な新べら放流が行われた椎の木湖。今季はいつもの1枚1㎏以上の超大型だけではなく、1枚700g級の同湖においては「中型」と言えるサイズも大量に放流され、訪れる釣り人たちのウキを活発に動かして好活性に湧いていた。
しかし、皮肉なことに大会を前にその「新べらフィーバー」はひと段落。荒食い後の一服状態に突入してしまったようで、大会前からかなりの食い渋りが予想された。その新べらを釣るには長竿を用いた底釣り系が定番となっていて、実際に1週間前くらいまでは猛威を振るっていたが、大会が近くなるにつれてそれも収束。かといって、従来どおりの短竿によるセット釣りも非常に渋い状況となっていて、大会史上…というより、椎の木湖の歴史の中でも珍しいほどの激渋状態で本番を迎えることとなってしまった。
しかし、毎年「がまペア」を楽しみにしている選手たちは、そんなことはお構いなし。受付開始時刻の6時より大幅に早い4時過ぎから選手たちが会場に集まり始め、開始30分前には、ほぼ全ての参加者が集まり、長蛇の列ができる熱気に包まれていた。2人組の「チーム戦」ということで、直前での作戦会議や、個人戦にはない面白さ、楽しさがあるのが人気の秘密だろう。
6時ジャストに受付が開始されると、選手たちは参加賞を受け取り、釣り座抽選へ。当日使用したのは2号、3号桟橋で、それぞれで前後半で釣り座を替えての3時間ずつの競技となった。受付を終えた選手たちは整然と各自の釣り座に散らばり、準備を整える。そして放送での杉本智也審査委員長の競技説明の後、7時、いよいよ前半戦がスタートする。大会当日の天候は曇りで、それほど寒くはない感触。風もなくまずまずの釣り日和となったが、やはり大会特有のフィッシングプレッシャーのせいか、スタート直後からかなりの激渋状態となった。
選手たちの釣り方は、深場である3号桟橋に入った選手は長竿の底釣り系で新べらをターゲットにする選手が目立ち、2号桟橋は短竿のメーター&チョーチンのセット釣りによる「渋い釣り」で1枚でも多く旧べらを拾う姿が目立つ。しかし新べらも旧べらも渋っている状態にかわりはなく、なかなか竿が立たない状況が続いた。開始から30分が経過するとポツリポツリと竿が立つ光景が目に飛び込んでくるが、その釣り方はまちまち。なかなか片目が開かない(1枚も釣れない)選手も目立ち、やはり予想以上の食い渋り状態のようだ。
そんな中、はっきりと目立って竿を絞る選手が3号桟橋渡り手前中央付近にいた。なぜ目立つのかと言えば、ひときわ長い竿で立ち上がって取り込む姿が連続していたからだ。その選手の名は、木村知広選手。新べら狙いの竿18尺での底釣りだが、ただの底釣りではなく、同湖では真冬の定番とされる「段差の底釣り」を選択していたのだから驚きだ。さらに驚いたのは、木村選手の「待ち」のペース。まさに真冬を思わせるほど、じっくりと待つ戦法は「釣れるまで竿を上げない」というほどスロー。しかし、これがバッチリと当日の状況にマッチするのだ。そんな木村選手は3時間で16.19㎏を釣り上げ、周囲を圧倒する個人トップ釣果を記録。「相方」の竹内康祐選手も渋い2号桟橋でメーターセットで踏ん張り、合計22.87㎏としてブッチギリのトップで前半戦を折り返す。
止まらない木村選手の段底と、サポートする竹内選手のメーター!
1時間の昼食休憩タイムを経て、後半戦は11時にスタート。同じく3時間、14時までの競技となる。
後半戦も木村選手の勢いが止まらない。
まさに「振り返ると木村選手が立ち上がって絞っている」という状態で、池全体がさらなる食い渋りにさらされていた中、ヒットが止まらないのだ。
木村選手本人が自ら後に語ったように、「いったんトイレに立って戻ってきてからアタる」…というくらいにクワセだけにしてから「待つ」戦法は、一見スローで消極的に見えるのだが、試釣の段階から同湖の尋常ならざる激渋状態を見越した確信のある戦術だった。同じく長竿の底釣り、エサは両ダンゴや両グルテンで新べらを狙っている選手もポツポツは釣ってはいるのだが、スーパースローな木村選手のヒット率には遠く及ばない感じなのだ。
そして、長竿底釣りでの新べら釣りが効かない2号桟橋では、短竿による超繊細な「旧べらバトル」が静かに繰り広げられていた。そしてそれを制したのが、木村選手の相方である竹内選手だった。
竹内選手は9尺竿によるメーターウドンセットで、バラケはいったんは入れるが、早めに上バリから抜いての「タナ抜き」のセット。クワセだけになった後は繊細なロッド操作でラインテンションを操りながら、下バリの重さをアジャストさせることで貴重な食いアタリを演出。「イヅナ」3号、4号、そして「サラ」3号を使い分け、竿を沖に送るような動作を繰り出して食いアタリをとらえていく。今大会では木村選手の段底での「爆釣」が目立っ
たが、それを渋いエリアできっちりサポートした竹内選手のメーターセットも見事だった。
結局、この木村&竹内の「鉄壁コンビ」を崩すことはできず、ラストまで駆け抜けての完全優勝となった。
第2位には、オリジナルなロングハリスチョーチンがチームを強力に牽引した生天目弘次選手&山田剛弘ペアが嬉しい初表彰台。毎年上位に食い込むペアだけに「初」は意外だったが、今年もチョーチン&メーターでの見事なコンビネーションで食い渋りを切り裂いた。
第3位は昨年と同順位となった実力派、久保田剛志&田中 豊ペアがランクイン。久保田選手がチョーチン、田中選手がメーターで、特に後半戦の久保田選手の13.16㎏(木村選手に次ぐ個人2位。短竿ではトップ)がキラリと光った。
優勝 木村知広&竹内康祐 ペア 42.59㎏
2位 生天目弘次&山田剛弘 ペア 35.27㎏
3位 久保田剛志&田中 豊 ペア 35.23㎏
4位 島田光浩&丹野利明 ペア 30.66㎏
5位 奥村達明&橋本智哉 ペア 29.59㎏
6位 吉野一重&磯貝一彦 ペア 28.06㎏
7位 小島英樹&武田アレックス ペア 27.87㎏
8位 山崎 学&福田直忠 ペア 27.52㎏
9位 小野澤誠&斉田隆一 ペア 27.39㎏
10位 伊藤京子&伊藤伸欣 ペア 26.72㎏
16位当日賞 田口昌明&鈴木武彦 23.61㎏
特別賞 北峯一郎&達也(5歳)ペア
表彰式のあとは、毎年恒例の豪華お楽しみ抽選が開催され、参加者の皆さんは大喜びでした!
《優勝 木村知広選手 タックルデータ》 段差の底釣り
- 竿 18尺
- ハリ 上がまかつ【アラシ】7号 下がまかつ【角マルチ】3号
- 道糸 0.8号 ●ハリス 上0.5号 下0.4号 10―60㎝
- ウキ TOMO【C-1】13番 PCムクT19㎝ 二枚合わせ羽根B13㎝ カーボン足7㎝ エサ落ち目盛は全11目盛中8目盛出し タナは下バリ5㎝ズラシ
- バラケ 【粒戦】50cc+【粒戦 細粒】 50cc+【とろスイミー】50㏄+水 200cc+【セットガン】 100㏄+【段底】 100㏄+【セット専用バラケ】100㏄
- クワセ 【魚信】1分包+水65㏄レンジ作り ラップにくるんで持参し、ポンプ出しで使用
- コメント 「試釣で宙釣りが渋いことが想定出来たので、段差の底釣り一本に絞りました。へらは底にいるので、寄せる意識は捨て、とにかくいるへらを釣ることを意識しました。バラケは3目盛だけ掛かってすぐに抜けてくる感じで、早めにクワセだけにして、そこからは『アタるまで待つ』という徹底的な拾い釣りです。待つ時間は5分くらいはザラで、いったんトイレに行って帰ってきてからでもアタる…というイメージ。釣れてくるへらは8割が新べらでした」
《優勝 竹内康祐選手タックルデータ》 メーターウドンセット
- 竿 がまかつ【がまへら飛翔天】9尺 タナ1.1m
- ハリ 上がまかつ【T1リフト】5号 下がまかつ【イヅナ】3、4号、【サラ】3号
- 道糸 0.8号 ●ハリス 上0.4号 下0.35号 8― 35~45㎝
- ウキ TOMOプロト PCムクT8㎝ 二枚合わせ羽根B4㎝ エサ落ち目盛は全7目盛中3.5目盛出し
- バラケ 【粒戦】100cc+【粒戦 細粒】 50cc+【もじり】100㏄+水 150cc+【セットガン】100㏄+【セット専用バラケ】100㏄
- クワセ 【感嘆】1袋に対して【さなぎ粉】25㏄をまぜたもの14㏄+水10㏄
- コメント 「相方が釣っていたのと、自分は渋いエリア(2号桟橋奥)に入ったという認識があったので、1枚でも多く拾うことを心掛けました。釣り方としては、バラケはいったんは入れるのですが、早めに抜いて、そこから微かなサワリが続いて、かなり待ってからの『トン』というアタリ。クワセをただ浮遊させておくというよりは、一瞬止まってからアタるような感覚でした。下ハリスは一番良かった長さは40㎝。アタりそうな時は竿を送るようなロッド操作が効果的でした」