がまかつが竿を手掛けて40余年。その間、一度も曲げなかった信念がある。実釣主義。そして、現場主義。その時代時代においてカリスマとして君臨していた猛者たちの感性を、がまかつは釣竿にフィードバックし磨き上げてきた。これはコンピューターが日常になったいまでも変わらない。答えは釣り場にあり、釣り場にしかないのである。そうやって生み出された竿は、まるで意思を持った肉食獣のように獲物の反撃を機敏にかわし主導権を強奪する。その様をみて、いつのころからか『がまかつの竿はまるで生き物のようだ』と表現されるようになった。そんながま調子は、ジャンルを問わずあらゆる竿に搭載されている。これをASD、すなわちアクティブサスデザインとがまかつは名付けた。理論が先ではない。ASDは、がまかつ竿が存在した時にはすでに備わっていた概念である。なぜ、このような調子が生まれるのか。がま調子を科学的な視点から解析するならば、応力の分散であり、スムーズな支点の移動がそれを可能にする。言葉にすれば他愛なく聞こえるかもしれないが、竿の設計者にしてみれば、これほど難解な問題はない。竿は長い。長いゆえに節がある。節と節のつなぎ目は負荷が集中し、強度が求められる。しかし、強化すればするほどいびつな弧を描く。これでは荷重に対し、支点がスムーズに移動しない。この節の独自構造こそ、がま調子の正25すべてのがまかつ竿に搭載されるロッド設計理論ASD(アクティブサスデザイン)の存在2.25号ハリスで60㎝の尾長グレの突進に耐える。あるいは、激流の流心から尺鮎をブチ抜く。またはそれに類する極限の状況下において、がまかつの竿は何かを起こす。結果、勝利と敗北の境界において、勝利を手繰り寄せる潜在能力を秘めている。破断するその瞬間まで曲がり込み、復元しようとする独特の粘りこそ、がま調子の神髄。明らかにスペックキャパを超えるモンスターからもぎとった栄光は数知れない。がま調子を生む
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