GAMAKATSU FISHING GEAR CATALOG 2024_竿
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 その後、「がま磯チヌ競技スペシャル」などの名竿を生み出していくが、素材や技術が進化する中、開発者と試行錯誤を繰り返し、理想の一本調子を成し遂げたのが2011年リリースの「がま磯アテンダーⅡ」だ。ジョイント部分の段差をなくしてワンピースロッドのような曲がりを実現する「スーパーアクティブサスデザイン」を搭載。さらにこだわったのが元竿だったという。「昔の竿っていうんは、リールシートのところで(ブランクを)つないでたけん、つないだ部分の前からしか曲がらんかった。5mの竿でも曲がる部分は5mないんよな。アテンダーⅡはつながずに一本ものなんよ。竿尻を下腹に当てて引っ張ると、リールシートの後ろまで曲がる。5m全体で曲がる分、魚が引いても戻す力が強くなるから、魚の弱りも早いんよ」 そして、竿全体が曲がる一本調子をさらに極めたのが2023年にリリースされたアテンダーⅢ。 カーボン素材TORAYCA®T1100Gを縦方向だけでなく横方向にも採用した「タフマトリックスシステム」や、ジョイント部分の段差を極限までなくした「ウルトラアクティブサスデザイン」を搭載し、よりきれいな曲がりと粘り強さを発揮。穂先部分を短くする先短設計や、全体的な重量バランスを見直すことで持ち重り感をなくし操作性がアップした。あらゆる魚をターゲットとする万能竿で、2024年春に追加される1号以下がチヌ釣りにマッチする。「魚を掛けて釣り人が竿を引っ張り込んだら、魚が走った分だけ竿全体がゴムのように引っ張ってくれるんよ。チヌが頭を振って緩んだときに竿が勝手に張ってくれるから、竿が叩かれず糸が受けるショックがない。糸に優しいけん、1号や1.25号のハリスで釣っていても、竿尻を下腹に当てて締め上げることができるんよな」 チヌ号数の最終テストを行った広島湾のタナゴ岩で、その威力を目の当たりにした。正面から当ててくる潮が左へ流れ、磯の角を回り込んでいく。角の近くでチヌを■わせるシーンも多々あったが、竿尻を下腹に当ててぎゅーっと絞り込むとチヌは角を回ることなくすべてタモへ収まり最大50cmの年無しもゲットしたのだ。「竿がいっちょも叩かれんだろ。勇気を持って締め上げたら先手を取って誰でも魚が楽に取れますわ」 松田がいう理想の一本調子とは、誰もが楽に魚が取れる竿なのだ。釣りの手を休めてチヌ竿に求められる要素を語る松田。チヌ釣りにマッチする0号、0.6号は5.3mのみ。1号は5mと5.3mだ。エサ取りの下に見えるチヌをサイトフィッシングで狙う。ボイルオキアミが釣果のカギとなった。7頭を振るチヌの引きを吸収して糸にやさしい手元から先までが美しく曲がって粘る一本調子が理想んかったわ。ずいぶん前のことやからよう「糸っていうんはな、ショックに弱いんであ覚えてないけど苦労したのはたしかや」って、じわーっと引っ張ったら強いんよ。特にチヌの場合は、頭を振るから竿が硬いとショックを吸収しきれずに、力がかかったり抜けたりする。竿を叩くっていうのは、そういうことなんよな。当然、糸に掛かる負担が大きくなって切られたり竿をのされたりする」 それでは軟らかければいいのかというとさにあらず。グレ釣り同様、サシ■先行で仕掛けを流し込んでいくスタイルだから、軟らかいだけの竿は操作性が悪いし、魚を掛けたあとも先手を取ったやり取りがしにくいからだ。 ある程度の張りがありながら、魚が掛かれば手元から穂先までがきれいに曲がって粘り、引きを吸収するとともに力を奪って浮かせてくる。そんな一本ものの竹竿のような調子がフカセ竿の理想という松田。「一本調子」と松田がいうそれは、もちろんチヌ竿にも当てはまる。「ワシがな、がまかつに入って(テスターになって)最初に作ったのはチヌ竿だったんよ。当時は硬いのか、どろんと軟らかいような万能竿しかなかった。そうじゃなしに粘る調子を目指した。ただな、当時はカーボンの種類も少なかったし今みたいにはいかリールシートの下から曲がるゴムのように引き戻す

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