南康史(みなみ・やすし)
1969年生まれ。G杯チヌで前人未到のV4を成し遂げたトップトーナメンター。ホームグラウンドは岡山県と広島県。ゼロウキを用いたスルスル仕掛けが武器。がまかつフィールドテスター。
連続ワンピッチ×フリーフォール
3kgを超す大型が当たり前の太平洋側なら3.5号をメインに4号をセレクトするエギンガーも多いが、瀬戸内や日本海側では、そこまで必要としない。近年、瀬戸内でも3kgオーバーも釣れる数が増えたとはいえ3.5号で充分。南さんは、3号をベースに2.5号を入れ、時折3.5号をローテーションに入れるというほど。それで、2kgオーバーを仕留めているから、瀬戸内では3.5号の重要性も薄れてしまう。
「僕的に3号っていうサイズは、潮受けもいいしコントロールもしやすいんで春も秋もメインにしてます。そして、小型から大型まで反応がいいっていうのもありますね」
南さんは、基本的に激しいシャクリで攻めない。ワンピッチの緩いシャクリにフリーフォールを組み合わせる、超シンプルな攻めを周年を通して行っているようだ。
「小さなシャクリとフォールを繰り返してレンジを探っていきます。底付近から中層、底から表層っていう感じで、毎回ボトムは取らないんです」
南さんは、ボトム近くから斜めにレンジを探っていく。小さく緩いワンピッチの連続したシャクリを繰り返すのだが、そのスピードは決して速いものではないため、シャクリとシャクリの間では軽くフォールしている。それが、いい感じで誘いになっていると南さんは読んでいる。
「基本的に春でも秋でも同じ攻め方です。シャクリとシャクリの間の勝手にフォールしてるときにも乗ってきますし、しっかりフリーフォールを入れるときにも乗ってきます。僕はフリーフォールが好きですね。レンジを探るのにシャクリ続けてエギを手前へ寄せるんで、フォールの時は手前へ寄せないフリーフォールでバランスを取っています」
灯台下暗し。見逃せない壁際
潮を釣ることが好きなフカセ師でもある南さんのエギングスタイルではあるが、川のように激流と化した状況ではヨレなど、潮の緩いエリアを攻める。そのひとつが壁際だ。
「潮が速くなってきたら、アゴリグシンカー(エギのアイにシンカーをぶら下げる)の5gを付けたりするんですけど、それでも対応できなくなると、潮の緩いところを狙います。それが壁際です。沖の潮が速くても際は緩い。しかも、そこ(際)へイカが寄ってくるのか結構、釣れるんです。しかも、デカいのが」
南さんは、そんな限定した状況ではなくても、エギを回収する際は常に足元を粘り強くしばらく探ってから回収する。回収前に中層ロングステイでチェイスしてきたイカの有無を確認するエギンガーは多いが、ここまで入念に探るのも珍しい。実績のある証拠だ。特に朝イチの実績が高いと付け加える。
季節に関係なく低活性な時は普通にある。そんな時、南さんは先述した5gのアゴリグシンカーを付けでボトムをズル引きする。
「最終的にはズル引きをします。確実に底を取るために5g以外は使いません。これで結構、いいサイズが出るんです」
これらの攻めを南さんは、いいと感じたエリアで粘り続ける。そのエリアの絞り込み方は、潮が動いた時にエギが引き込まれたりヨレのできるところ。それらが発生する場所は地形が必ず絡んでいるため、回遊個体のルートである可能性があるため。大型こそ、いつ時合いが訪れるか分からないため南さんは、回遊待ちスタイルで攻める。
(CP12?)