前岡正樹(まえおか・まさき)
1974年生まれ。ホームグラウンドである三重県尾鷲や静岡県南伊豆で腕を磨き、第38回G杯争奪全日本がま磯(グレ)選手権で優勝。オモリを多用した半遊動仕掛けから軽い仕掛けまで幅広く使いこなす。がまかつフィールドテスター。
連載第2回は、前岡正樹さんの競技に対する指向、特に普段から心がけていることやタックル使いなど、強さの秘訣を明かしていただいた。
時間に無駄がないよう仕掛けの配置などには気を使う
試合中に気をつけていることは?
「やっぱり時間をいかに無駄なく使えるかを重視しています。よく使う鈎やオモリ、小道具は、利き腕の右手で取り出しやすい左胸のポケットに、ウキケースは左下ポケットですね。次によく使うハリスは右胸のポケットに入れて、試合中なるべく無駄がない動作を心がけています」
「マキエを右手で撒いているのだけは無駄なんですけどね(笑)。でも競技中は利き手で正確にマキエを打ち込みたいのでどうしても右手になってしまいます…。
もうひとつはマキエバッカンとサシエケースを、最短距離で手が届くところに置いています。グレを釣って鈎を外して、そのままその手でサシエを付けて、先に仕掛けを振り込んでマキエを打つ、みたいな感じです。とにかく1尾を早く釣りたいので」
信じた仕掛けを使い、攻めるラインも自身の感覚でつかみ消去法で展開していく
勝つために心がけていることは?
「普段から使っている仕掛けや釣り方を通すことです。プライベートだからといって1.5号の竿を持つことはないです。常に竿は1.25号で、ハリスも1.25~1.5号を使って競技と同じセッティングで釣りを展開しています。夏の尾長グレを狙うときなどは別ですが、それ以外では結局普段の釣りの延長戦なので、大会と同じタックルで自身の釣りに磨きをかけています。
いつも同じ作業ができるようにフローティングベストの中身はもちろんですが、タックルバッグの中身も同じものを持ち歩くようにしています」
「トーナメントだからといって特別にゼロウキで通すとかはなく、仕掛けがなじんでなければBのウキに替えるし、このエリアは遠投だ! といわれているところでもとりあえずは自分がここだと思うところから攻めていって、ダメなら早めに修正していって消去法で絞っていきます。そういう風に普段の釣りを試合でも常に行えるように心がけていますね」
3つのウキパターンからあらゆる状況に対応していくのが前岡スタイル
競技での仕掛け使いを教えてください。
「ラインは、これなら食わせられると思う最低限の太さを選択しています。ある程度のサイズの魚が取れるっていう話になってくると、私は基本1.25号の竿に道糸1.5号、ハリスは1.25~1.5号で勝負します。そこから食いが悪かったり、フィールドが堤防の場合や浮いたグレを釣らなければならないときは、ハリスを0.8号や1号に落とすこともありますね」
「もうひとつは、僕のウキのパターンは、01、B、2Bしかそろえていません。調整用のオモリはG7、G5、G4、G3、G2、B、2B、3Bのみですね。これだけあればある程度の状況に対応ができるし、自身が今までやってきた釣りが展開できます。01のウキでハリスを短くして、G7の3段打ちで深ダナまで沈めていくこともできるし、シモリの際に仕掛けを落ち着かせなければならないときや、道糸が風などに取られるとき、さらにウキを浮かせてアタリを取らなければならないときは2Bもあれば仕掛けが入ってくれます。それで邪魔するものがなければBで展開していくイメージですね」
軽量設計ではあるが、強度に信頼をおくセレクトグレをメインに使う
ハリ使いのこだわりを教えてください。
「普段から小バリを使います。号数でいえば3号、4号、5号がメインになります。なじむまでが勝負だ、と思ったときは軽いファイングレを使ったり、今メインで使っているセレクトグレを多用します。
セレクトグレに関しては吸い込ませやすく、強度も強いので競技でも安心して勝負ができるハリだと思っています。細いタイプなので、使い始めは口切れしないか心配したこともあったのですが、まったくないので気に入ってます。
そこからオモリなしでハリの重みだけでなじませたいときや、素早く仕掛けを入れたいときはハリの自重が重たい掛りすぎ口太を使ったりしますね」
これからの競技会では間違いなくがま磯グレ競技スペシャルIVがメインロッドとなる
今までの弱みだった7g前後の軽いウキのキャストもグレ競技IVで克服。さらなる武器となった
ただ強いだけではなく、魚が叩かず暴れない調子のため、安心したやり取りが可能になる
競技で使うメインロッドや特徴を教えてください。
「間違いなくグレ競技スペシャルIVを使いますね。とにかくウキが振り込みやすいです。
私が使うウキは高重心タイプの軽いウキ(約7g)なのでどうしても投げにくいし、バランスの関係で飛行姿勢もよくないといったデメリットがありましたが、それらを解消してくれたので、思い通りに狙ったポイントへ仕掛け投入ができますね。また、5.3mでも5m並みに軽いので操作性も優れています」
「竿自体は軽くてもねじれがないので安心して勝負ができます。また、魚が竿を叩かないのでこちらから誘導していけますね。魚がシモリなどに突っ込んでいってしまうとハリスが飛んでしまいますからね。そして、ドスンっと鈎に乗った瞬間に走られてしまうとハリスが切れてしまうんですが、この竿はその走りを止められるので、競技会でも有利になると思います」。
文・写真/細田亮介