久保野孝太郎(くぼの・こうたろう)
1969 年生まれ。がまかつフィールドテスター。関東勢初のG 杯グレ優勝を果たしたほか、G 杯チヌでも準優勝とトーナメントシーンで輝かしい戦績を残し、全国の磯を舞台に活躍。
POINT 神奈川県真鶴半島・カワウソ①
釣り始めたときは図のような状況でした。当日は背後から北東風が強く吹き付けており、その影響で表層と中層から下層の流れの向きが異なっていたのです。それ自体はウキを沈めることで対応できましたが、問題は下層の潮の向き。浅い方へと流れているため沖から魚を呼び込めません。かといって竿下の落ち込み際を狙っても反応は薄かったため、釣り場を変えるか、もしくは状況が変わるのを待つかの選択を迫られました。ただ、釣り場を変えようにも風裏になりそうな場所はどこも先客がいるでしょうし、かといってこの磯には空いている釣り座がありません。仮にこのまま待っても状況が変わる保証はないのですが……。
こういう展開で竿を出すのはかなり疲れます。何の確信もなく仕掛けを打ち返すだけですからね。当日は潮変わりを待つことにしましたが、判断を下すまでには実際のところかなり迷います。
釣り座はなんとか確保できたものの、磯周りの状況はあまり芳しくなかった。「浅場へ流れていく潮だな〜。これはどうしたらいいんだろ……」
風と表層流をかわして付けエサを狙いのタナまで運べるよう、仕掛けがなじむとジワリと沈み込む浮力のウキをチョイス
スタートからほどなくしてコッパサイズが掛かったものの、それ以降はたまにアイゴがハリ掛かりする程度と低調な展開に。久保野さんの口数も次第に減っていく……
しばらくは我慢の釣りを続けていたが、正午を過ぎても好転しない状況に転戦を考え始めた久保野さん。移動するか、ひたすらに待つか。いずれにしても決定的な判断材料はなく、ただ時間だけが過ぎていく……
この記事は磯・投げ情報2月号の記事を再編集し掲載しております。