久保野孝太郎「ウキフカセ秘伝」

道具やエサ、海の状況や魚の動きに至るまで様々な要素が絡み合うウキフカセ釣り。
複雑怪奇な状況を釣りこなす難しさがこの釣りの醍醐味だが、それはエキスパートならではの悦楽。
ステップアップを目指す修行の身には、攻略に繋がるヒントが必要となる。
そこで、がまかつフィールドテスター久保野孝太郎がその要点をテーマごとに解説。
久保野流の「秘伝」を紹介していきます!

竿の性能を理解して「納得の1本」を手に入れよう!

「がまかつ」の磯竿には魚種や魚の大きさ、釣り場の条件に応じて多くの種類と号数があります。
それぞれの銘柄には違った味付けやコンセプトがあって、どの竿にも魅力的な要素が搭載されていることが「がまかつ」の竿の魅力であると同時に、どの竿が自分に合っているのか迷ってしまうことにもなっています。
とはいえカタログを見ながら「これにしようか。」「やっぱりこっちか。」と迷っている時間は私達にとって大変楽しい時間でもありますよね。
そこで、このコーナーではそんな釣人の楽しくて不安な竿選びに少しでもお役にたてるように、竿選びのコツを説明していきます。
あの新しい竿を手に入れて初めて使う時の「ワクワク」と「ドキドキ」をより素晴らしいものに出来たら嬉しいです。

最高の道具を使い切るためにタックルバランスを考えよう!

前回までは「がまかつ」の磯竿を選ぶうえで重要な長さや号数別の強さの意味を解説しました。そこで今回からは手にした「がま磯」を最大限に生かすための「タックルバランス」ついて説明したいと思います。
磯釣りをある程度やり込んで経験を積んでいけば自然と道具全体のバランスが身に付いてくるものですが、「ウキフカセ釣り」を始めて経験知が浅いころは道具の種類や号数違いが各箇所にあって、訳がわからないのが普通です。
釣人それぞれの釣り方や経験の違いから「絶対にコレ!!」といったものが無いだけに詳しく書かれることがないテーマですが、基本的なことをマスターしたうえで経験知をあげてもらえば上達も早くなると思いますので是非参考にしてもらえれば嬉しいです。

タックルの性能はバランスが左右する

「竿」「タックルバランス」に続く連載テーマは「鈎」。違いが明確なわりに基礎的な解説が少ない要素ですので、基本的な機能を理解して使い分け出来る様にしましょう。
鈎は魚と直接コンタクトする唯一の部分であり、わずかな違いが大きな釣果の差を生む奥が深い仕掛けパーツです。
私も、釣りを始めた頃は新しく発売されたものや、気に入ったものを適当に選んでいたし、鈎選びについて明確な方針はありませんでしたが、様々な経験を重ねるうちに鈎選びの重要性を実感し、徐々に選ぶ基準や鈎に求める性能が明確化していきました。
ある程度経験を積めば好きな鈎、自分の釣りに合った鈎、状況に応じた使い分けが身に付いてきますが、種類やサイズなど選択肢が多いので迷ってしまうことも多いと思います。そこで、
 ①鈎の基本要素
 ②魚種で変わる必要性能の違い
細分化された商品ラインアップから最適を選ぶために、まずはこの2つを学んでいきましょう。

釣果を左右する「理由ある」鈎選び!!

さて不安定な天候や水温の高止まりなどと年々状況が安定しないグレ釣りですが、みなさん各地の釣況やSNSでの釣果情報など情報収集に余念がないと思います。
毎年のことですが、なんだかんだと言っているうちに海の状況は確実に冬に向かって行って秋の心配はどこへやら。とグレ達は釣れるようになってくれるものです。
そこで今回も前回から引き続いて「鈎」についてのコーナーになります。私達が狙っている「グレ」といっても「尾長グレ」もいれば「口太グレ」もいます。サイズや季節によっての食いの違いなどを考えると「鈎」を考える事は非常に大事で自分なりのパターンを見つけることができれば釣りの楽しさと釣果も倍増すること間違いなし!なので是非参考になさってください。

似ているが実は別モノ!正確な情報収集がキモ

最近私の周りで「ウキふかせ釣り」を始める方が多いように思います。
この釣りをしている私には嬉しい限りで、気持ち的には「ようこそ、いらっしゃいました!」と思っています。
しかし、この釣りはウキの下に1本の鈎が付くシンプルな仕掛けではありますが、その分釣人自身がどのように攻めていくか。で大きく釣果が変わってしまうのもまたこの釣りの特徴です。
堤防や磯のどの場所に釣り座をとるか。近距離を釣るのか遠投するか。どの位のタナを釣るのか。どんな仕掛けを組むか。コマセはどこに撒くか。などなど、釣果につなげるには沢山の要素が関わってきます。
こんな沢山ある中から「仕掛け」に付いての考え方を紹介しますので、参考にしていただければと思います。

実釣取材中の出来事から過去の解説を振り返る!

今回は、数回にわたった理論編から実釣編を見ていただこうと思います。
私がホームグラウンドにしている伊豆半島に限らず、ここ数年の傾向は秋になっても海水温が下がっていかないことからか「秋磯」といわれるシーズンになっても夏の名残が色濃い釣行となることが多いですが、今回の釣行もそのような釣りになりました。
しかし、エサ取りや木っ端グレなどと状況が悪ければ今まで読んでいただいたノウハウが発揮されるので当日の実釣に沿って①当日の状況②それに対しての対応策③今まで解説してきた内容の3つを絡めながら振り返っていきましょう。
場所は水深のある地磯。潮はほとんど動かないなかで昼から夕方までの釣りとなりました。

実釣取材中の出来事から過去の解説を振り返る!

G杯グレの予選は全国的に秋の「秋磯シーズン」に行われることが多いのですが、ここのところ夏が終わってからも海水温の低下するのが遅くなっているせいか、本来であれば高活性で数が釣れるはずの秋磯シーズンが始まるのが遅くなっているように思います。
グレはどこかにはいるのですが、グレに付けエサを食わせる前に、沢山のエサ取りに付けエサを取られないように仕掛けを工夫したり、コマセの打ち方を考えてみたりとグレを釣るためには色々しなくてはいけません。
10月の終わりに行った今回の釣りも、そのような状況を顕著に表すような状況となりました。エサ取りが多くて活性も高い状況で、ムロアジ、ゴマサバ、マサバ、沖にはスマガツオとエサ取り青物のオンパレードでしたが、そのなかからグレを釣っていく段階を説明していますので参考にしてもらえれば嬉しいです。

ライバル多き晩秋の磯 出遅れた久保野の策は?

今回お届けするのは近場の地磯での実釣編となります。
釣行は12月なので全国的にはグレ釣りのハイシーズンですが、今シーズンは水温が高いままの状態が続いていたので2ヶ月程前の秋磯のようなイメージでの釣りとなりました。
地磯ということもあって潮はほとんど動かないうえにエサ取りが多いなかでの釣りとなり、いかに付けエサを本命のグレに届けるか。がポイントになりました。
磯場を独占して広く釣ることが出来たら釣りやすいのですが、他の釣人がいる場合は自分の釣りが出来る範囲で何とかしなければならないので、コマセの打ち方や撒く場所などを工夫したり、仕掛けや投入点なども考えながら釣る必要が出て来ます。
このような釣りをすることで、悪条件の克服の練習にもなりますので釣りの「引き出し」を増やすにはいい釣りになると思いますよ。

ほんの少しのことでもっと釣れるのに……

私は、そこそこグレ釣りを長くやっているせいか、始めて間もない釣人や釣友から質問を受けることがあります。
道具のことから釣り方までと内容は様々ですが、そのなかには一緒に釣りに行ったときに「今どんな風に釣ってるの?」とそのときの状況にかんすることもあったりします。
私も釣りを初めたころは、どこに気を付けて、どんな風に釣ればグレが釣れるのかが分からずに迷いながら釣ってた頃を思い出したところで今回は、そんなときに思う「こうすればもっと釣れるんじゃない!」な内容をいくつかピックアップして書かせてもらいました。
季節や状況によって一概に言えないところが釣りの難しさではありますが、釣れないときはチョッとしたポイントを理解することで釣果が倍増したりしますので参考にしてもらえたら嬉しいです。

イベントの代わりに誌面でお答えします!

2021年は新型コロナウイルスの蔓延で毎年行われている「フィッシングショー」が開催できませんでしたね。
今年は北九州で一年おきに行われる「フィッシングフェスティバル」も中止になり、各地区のみなさんに会うことが出来なくて残念でした。
毎年会場で会って色々な話を聞かせてもらったり質問をしてもらったりすることが出来なかったので今回は皆さんから寄せられた質問のいくつかに答えていこうと思います。
仕掛けのことや釣行場所や釣座を決めるときのポイント等々、分かっているようでもやっぱり迷ってしまうことに私なりに答えをだしていますので参考にしてもらえれば嬉しいです。
最後にコロナと戦っている医療従事者の方はもちろんのこと、関係者の皆様にお礼を申し上げます。
皆さんも感染に十分注意したうえで各行政の決まりを守って安全な釣りをしていきましょう。

ときに気まぐれな地磯は奥深いウキ釣りの練習場

今回は地磯での実釣をもとに、気を付けてほしい点や本命に辿り着くまでを説明していきたいと思います。季節は冬から春に移っていく3月です。
この時期は産卵をする魚とすでにハタキ終わった魚とが混在することや、海が春に向かって変わっていくので水温の変化も激しくて魚の動きがコロコロと変わる難しい時期でもあります。
最近は水温の上昇からか尾長がアタルことも多くなってくる時期でもあるので、その点にも注意が必要です。
当日も地磯ということもあってか潮もあまり動かないなかで僅かな変化を見つけながら狙う場所や仕掛け、撒きエサの投入点などを変えながら本命を釣ることが出来ましたので参考にしていただければ嬉しく思います。

今回は春から夏に変わっていく時期の堤防での釣りをみていただきますが、同じグレ釣りをするのでも磯場と違って堤防は地形の変化にも乏しいことから風による表層の流れに惑わされたり、タナによって潮の動きが違ったりと、手軽なイメージとは違って思った以上にテクニカルな釣りになる事が多いと思っています。
もうひとつは季節による特徴となりますが、春から夏になっていく季節はエサ取りや小型のグレが動き始めるときでもあって時間帯や潮の動きで大きく魚の動きが変わるときでもあるので、魚の動きに合わせて仕掛けを替えたり、攻め方を変えないと思ったようには釣れませんので気を付ける必要があります。
それでは当日の釣りの要点を順を追って説明していきますので参考にしていただければ嬉しいです。

今回は秋からの磯シーズンが始まるにあたって「磯竿」について、その選び方や特徴などを解説していこうと思います。長さや号数など磯竿についての基本事項は当連載の初回にて解説済みですが、そこでは詳しく説明できなかった「調子」をテーマに絞って話を進めていきましょう。
あらかじめ断っておくと、竿の「調子」は曲がり方だけで決まるものではありません。
元々の分類はそれがベースとなっていましたが、技術や素材についての革新が繰り返され、その結果として様々な要素が複雑に絡むこととなりました。「調子」にはその竿を使う人の感覚的な部分まで評価に含まれることから自分に合った竿を選ぼうとすると、なかなか難しくなってしまいます。
今回は、そんな竿選びのお役に少しでも役に立つことが出来たら嬉しいですね。

久保野孝太郎(くぼの・こうたろう)

1969 年生まれ。がまかつフィールドテスター。関東勢初のG 杯グレ優勝を果たしたほか、G 杯チヌでも準優勝とトーナメントシーンで輝かしい戦績を残し、全国の磯を舞台に活躍。

久保野孝太郎「ウキフカセ秘伝」