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# イカメタル

あらゆる操作レスポンスを追求した攻撃型オモリグ専用スペック スピードメタルRオモリグモデルができるまで

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夏の夜とくればイカメタル。涼しい・釣れる・おいしいのいいとこどりで年々、ファンが増え、新月の夜には予約が取れない船もある。そんなイカメタルでいまもっとも話題のリグといえば、オモリグ。オモリグ専用モデルとしてラグゼがリリースするロッドがスピードメタルRの追加機種S610MH、S610H、B67XHの3機種だ。いったいどんなロッドに仕上がったのだろう。その開発現場に密着した。

PROFILE
中村 有登

解説:中村 有登

春はヒラマサのジギング。夏はケンサキイカのイカメタルに情熱を燃やすラグゼプロダクトプランナー。イカメタル黎明期からイカメタルゲームの最先端を追いかけてきた人物。シーズンともなれば、京都・福井沖の日本海を主戦場に、鳥取・山口・九州まで足をのばし、ケンサキイカを追いかける。

スピードメタルRのオモリグ開発コンセプト

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いまや、ケンサキイカゲームを楽しむうえで欠かせない存在となったオモリグ釣法。そもそもスッテ釣法と比較してオモリグ釣法の特徴やアドバンテージとは何か? まず第一に、大型のケンサキイカを狙って釣りやすいこと。次に、ノリの悪い低活性時に強いこと。そして、ステイ時の仕掛けの安定性に優れることがあげられる。 ちなみにもう一方のスッテ釣法特有のアドバンテージは何か?といあわれれば、ダイレクトな操作性と、微細なアタリを明確に表現できること。そして、レスポンスの良さがあげられる。
ロングハリスを常用するオモリグ釣法においては、スッテ釣法特有のダイレクトな操作性とレスポンスの良さをえることは難しい。 逆にいえば、オモリグ釣法においてダイレクトでレスポンシブな操作性を実現可能なロッドがあれば、よりエキサイティングなオモリグ釣法が楽しめるのではないか?と考えた。
そこでスピードメタルRのオモリグモデルのコンセプトは、「イカメタル仕掛け(胴付き型)のように積極的にアタリを出し、掛けにいく」オモリグロッドとなった。すなわち、「乗った」ではなく、「掛けた」と明確に感じられるロッドに仕上げるため、仕掛けの操作性、瞬時のアワセが効くレスポンス、目感度、この3点に重点を置き開発がスタートした。

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不可能を可能にするラグゼロッドデザイナーの存在

コンセプトが決まりいよいよ設計がスタート。私も企画担当として設計者とともに試行錯誤を繰り返した。目指すべきロッドは、20号~40号錘を快適に操作可能かつ、感度に優れたカーボンソリッドを搭載し、アンダーハンドキャストも可能なロッド。いわば、パワーと軽さ(感度)の相反する要素を組み合わせる事を意味しており設計は容易な事ではない。開発は難航するかに思われた。

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しかし、ソリッドティップ+チューブラブランクスの設計に絶対の自信を持つ設計者からは「任せろ」の一言。これまでラグゼシリーズにおいて、不可能と思える数多の要望に応え続けてきた設計者の頼もしい一言からしばらく経ったある日、ファーストサンプルが仕上がってきた。持った瞬間にわかる軽さ、曲げた瞬間にわかるテーパーバランス、全てにおいて想像の先に達しており、まさに衝撃であった。

圧倒的な完成度のプロトロッドと、その完成度にさえ満足しないデザイナー

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ファーストサンプル確認後、設計者とすぐに現場へ製品テストに向かった。設計バランスのよさがもたらす操作性の高さ、イカのアタリの出方の鮮明さ、アワセに対するレスポンスのよさ。一連の動作のうちに3度も想像を超えた衝撃を受ける結果となり、プロトの出来は上々かと思われた。だが、設計者はまだ改善が必要と考え、その後も何度も試作テストを繰り返した。グリップの形状、全体レングス、長時間使用した際のアングラー疲労度、これらを考慮した上での全体のテーパー調整。毎週の如く現場に出向き検証を重ね、ようやく納得できるプロトが完成した時、シーズンは既に終盤を迎えようとしていた。

まさかのタフコンディション下で威力を発揮した最終テスト

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シーズン終盤、最終テストのエリアは島根県境港に決まった。当日は潮の流れが速く、イカのヒットレンジもボトムレンジ付近に集中。ステイが長すぎれば糸が潮に取られ、アタリを感知できない。しかし、イカの活性は高いので、アタリを感知し、掛けることさえできれば数は伸ばせる状況であり、タックル性能が試されるまさに最終テストの名に相応しいコンディションであった。
まず、ロッドは30号~40号錘に対応したS610Hをセレクト。

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エギはこのロッドと共にテストを繰り返してきたエヴォリッジ2.5号イカメタルカラー、錘は30号をセット。ヒットレンジは底から5mまでで、激流で若干糸が潮下側へ流される状態のため、時間を掛け過ぎると糸がふかされアタリがぼやける。最初の着底から2回~3回がチャンス。その少ないチャンスをものにするために、タックル感度を信じてアタリを待つ。すると次々にティップが入り出し、アタリが連発した。目感度は申し分無い仕上がりとなっていた。

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スピードメタルRのオモリグモデルはどんなロッドか

ティップ部に繊細なカーボンソリッドを搭載し優れた目感度を確保しながら、穂持ち部にある程度のパワーを持たせた。そのため、レスポンスを上げつつ、対応錘号数の負荷に反応できるバット部へ剛性分布させています。十分なレスポンスを備えながら感覚的に硬くなりすぎないよう調整することで、長時間の操作の疲労度を軽減すると同時に違和感なくキャストできる調子が得られました。また、パーツも含むロッドバランスの調整と、リザウンド構造のグリップ採用により荷重変化・反響感度にも優れた仕上がりとなっております。

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オモリグで積極的にアタリをとりにいくには「錘からエギのリーダー部を張る事」が重要になります。この状態をロッド操作で作り出すためには、錘とエギの位置を把握しながらのロッドコントロールが必要になります。所定の錘負荷を背負った状態でもティップで荷重変化を“聞ける“ことで繊細な仕掛けコントロールを可能にしつつ、微細なタッチさえも視覚で感知できる表現力の高い高感度カーボンソリッドティップを搭載し、目感度との両立を可能にした事が、このシリーズの特徴の一つです。
また、仕掛けのコントロール中に得られる違和感程度の荷重変化も感知でき、その場で最短のストロークでアワセを決める事が可能です。これがこのロッドの真骨頂であるレスポンスの高さです。

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うねりを吸収し、仕掛けを安定させるためスピードメタルR S610MHにチェンジ

この状況ではロッド特性がハマり、激流時でも全くのストレスを感じる事なく、釣りを展開。エギのカラーローテーションとの組み合わせでイカを次々と追加していく。しかし、時間が経つごとにウネリが増していき、仕掛けのコントロールが難しい状態になった。ここで、錘は30号のままロッドをS610MHにチェンジ。
S610MHは全体的に1ランクパワーを落としたタイプで、本来はシーズン初期の浅ダナに対し20~25号錘を用いキャストを駆使して大型を狙うスタイルに適した一本ではある。一方で、ウネリの激しい状況下で仕掛けを安定させなければならない場合でも、ステイ時間を長めにし、目感度主体でアタリを取るスタイルにも適している。いかなる状況でも攻撃的なオモリグ釣法が体現可能なレスポンスの高いロッドに仕上がっている。

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エギもカラーローテーションを行う事を前提としたカラーラインナップに設定しており、グロー面積、グローカラー、透過系か非透過系か、その日のコンディションに対応するためにも複数カラーを常備しておくことが釣果を伸ばすためには必須である。カラーがハマるとアタリの数と大きさ、アタリが出るまでの時間に歴然とした差が発生する。特に#61レッドヘッド/赤エビゼブラはシーズン中のテストでは抜群の安定感と実績を残しており、来シーズンのエースカラーとなることは間違いないであろう。

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激流のボトムを攻めるスピードメタルR B67XH

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その後も相変わらずの激流状態。ここで錘を50号に変更し、ロッドもB67XHにチェンジ。ボトム付近のイカに対しベイトタックルならではの利点を活用し、効率的に釣果を伸ばす作戦が功を奏し、さらなる連発劇が続いた。
ここでのベイトタックルの利点は、着底からの巻き始めの速さ、糸フケを抑えたダイレクトなテンションコントロール、そして巻き上げトルク。この3点が考えられる。
40号を超える錘を使用しなければならない状態というのは、深場、激流、二枚潮というパターンが多くをしめる。このような状況においては、スピニングと比較して巻きトルクのあるベイトタックルを使用するほうが、回収や、やり取りが楽にこなせるため、総じて疲労感を軽減させることも可能となる。また、底スレスレのタナを細かく攻略する場合においてもベイトタックルは有効である。

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まさにこのような状況で真価を発揮するモデルがB67XH。ひたすら現場に通い続ける開発スタッフが昨今のフィールド状況を加味し、絶対に必要なシチュエーションがあると断言するモデルである。このモデルはアタリの表現力に優れたカーボンソリッドを採用しており40号~50号錘を使用した場合でもティップ感度を残す設計を施し、XHとは思えない目感度に加え、深場、急潮流時でもアングラーサイドの意図したアクションを再現可能な操作性が両立されている。
特に山陰エリアではこのスペックがタフコンディション時の切り札になる事は間違いないかと思われる。時間は24時をまわり、アタリも散発的になったところでストップフィッシング。最終テストも無事完了し、初夏のデビューを待つのみとなった。

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それぞれのスペックを状況に応じて使い分けることで、オモリグをよりアグレッシブかつエキサイティングに楽しむことが可能なラインナップとなっている。