BASS -CRANK-
# バス # クランク
ディープクランクが得意技に変わる神クランク登場
バーサタイルクランク
アベンジクランク400使いこなし術
琵琶湖バスプロガイド礒村とアベンジルアーデザイナー赤松がタッグを組みチャレンジしたニューコンセプトディープクランク・アベンジ400。幾度となくリセッティングを繰り返し、ついに辿り着いた奇跡のバランスは、ロクマルをも惑わす究極の軽巻き仕様。その実力と使い方を礒村が語る。
解説:礒村 雅俊
アベンジの理念VSディープクランク
2020年、ラグゼのバスフィッシングプロジェクト、アベンジがスタートしたときに、メインルアーデザイナーの赤松拓磨は、こんなことを語っている。
「アベンジは、誰でも手軽に扱えるようなルアーでありたい」
なるほど、磨き上げたテクニックを駆使して、難しい魚を釣る。そのために存在するマニアックでツウ好みのルアーも確かに楽しい。実際、今やそういうルアーがバスフィッシングシーンを席巻しているのも事実。だけどアベンジが目指すのは、それとは違う道だ。
ルアーの原点に立ち返るかのように、もっとシンプルに。
投げて、巻いて、ガツンとバスがバイトする、至高の喜びを。
ビギナーからエキスパートまで、誰もが楽しみながら使えるものを。
で、その舌の根も乾かぬうちに、アベンジの2021年の新作として登場するのは、4mダイバーのディープクランク、「アベンジクランク400」なのだ(笑)。ディープクランクといえばもっとも熟練が要求されるルアーカテゴリーのひとつではないか。だが、これには明確明快な意図がある。
それについて、アベンジクランク400の製作に携わった、琵琶湖のバスプロガイド、磯村雅俊に訊いた。
ディープクランクは、実は物凄く使用頻度が高い
「長年、ガイド業をやっていて実感するんですけど、ディープクランクって、実はメチャクチャ出番が多いんです。秋~冬~春先まで、いってみれば約半分のシーズン、使いたい、必ず持っておきたいルアーなんですよ。フィールドコンディション的にも、荒れたら出番だし、濁りが入ったときもいい。台風の後みたいな特殊な条件だったら、もう必須。そう考えると、琵琶湖では必要不可欠なルアーなんですよね。他のフィールドにしても、例えばリザーバーでも、魚のレンジがわからないところをシャロークランクをずっと引いていても探り切れないでしょうけど、ディープクランクだったら幅広いレンジを通せるので、サーチベイトとしても使いやすい。だったら、クランクを作るんなら、一番よく使うヤツを最初に作っちゃえと。だからディープクランクから始めることにしたんですよ」
クランクベイトの中で、実は一番、出番が多いディープクランク。ならば素直にディープクランクから着手しよう。実に明快だ。とはいえ、使いこなすのがなかなか難しい。
「そこなんですよ。お客様を乗せてガイドをしているときに、ディープクランクを一日、巻き続けてくれたら、必ずいい魚を手にしてもらえる。その確信が僕にあったとしても、正直、やり続けるのはしんどいです。ギブアップする方も少なくない。そもそもディープクランク用のタックルをお持ちじゃない方も多い。1日投げられて、幅広いタックルで使えるディープクランクがないと、僕のガイド業的にも死活問題なんです(笑)」
ディープクランクは、ものすごく釣れるルアーだ。その長所と引き換えに地獄の使者と取引したかと思うくらい、使い手には高いスキルが求められる。
まず、手首がもげるかと思うくらい、引き抵抗が重い。潜らせるための助走距離、引きシロ(プロダクティブゾーン)を稼ぐために飛距離を出さなきゃならないのに、あの長いリップが邪魔して飛ばない。根掛かりの可能性も高いし、タックル選びにも気を遣う。
「それらをできうる限り解消した、誰にでも扱いやすいディープクランクを作った。それがアベンジクランク400です」
そう、ディープクランクであろうとも、あくまで芯を貫くコンセプトはアベンジなのだ。もっとも難しいカテゴリーのひとつ、ディープクランク。釣獲性能はそのままに、使いやすさを追求するアベンジコンセプトへと落とし込む。課された高いハードルを鮮やかにクリアし、満を持してリリースするのがアベンジクランク400なのである。
引き抵抗は従来の1/20!?
「まず、使うとビックリすると思います。引き抵抗は、かつての定番ディープクランクたちに比べると、20分の1くらいじゃないかな(注:磯村体感(笑))。1日、引き倒せますよ」
これを可能にしたのが最低限の強度を確保したうえで、極限まで無駄を省いた、薄型のリップ。加えて、引き抵抗の軽さは、疲労の軽減とともに、鋭敏な感度ももたらす。今までルアーの振動と引き抵抗に覆い隠されて見えなかった、ウイードタッチの感触やバスのバイトを鮮明に手元に伝えてくれる。
となると、引き抵抗が小さいということはアクションも小さいんじゃないか、クランクの長所であるハイアクションでのハイアピールがスポイルされているんじゃないかと心配される方もいるかもしれない。ご安心を。アベンジクランク400は、しっかりとウォブンロールして、バスにばっちりアピールする。
「ドドドドという例の強烈な振動じゃなくて、ドゥルドゥルと細かい振動が手元に来るような感じですね。すいません、僕、擬音が多いもんで(笑)。で、潜り方は、フラットウィードを攻めやすいように、急潜行型じゃなくて、なだらかに横入り(はいり)する設定にしています。横入り型は、レンジが広く探れて、場所を選ばずサーチベイト的に使いやすい利点があるんですよね。潜行レンジは最大4ⅿ。細かくいうと、フロロ14ポンドで竿を立てた状態で巻くと、3.2~3.5ⅿ。竿を下げて巻けば3.9~4ⅿに到達する感じですね。
アベンジクランク400は、飛距離も自慢だ。
「タングステンのウェイトを搭載し、飛行姿勢のよさも相まって、スコーンと抜けるように気持ちよく飛びます。風に向かって投げても姿勢がブレない。ぶっ飛んで、引きシロをしっかりと確保してくれます」
障害物回避性能の高さにもこだわった。
「感度が高いから、コンタクトが分かりやすいのは、まず大きいですよね。触ったら浮かせてもいいし、アクションがウォブンロールですから、ウィードやスタンプに当たっても、リーリングを一度止めて、ゆっくり巻いてあげてもいいです。どういうことかというと、アクションの質的にリップが横方向に滑るので、ポンと外れるんです」
巻きが軽くて、飛んで、引っ掛かりにくい。ディープクランクのネガティブファクターを解消した、とんでもない性能を秘めた、自信作が出来上がったというわけだ。
「相当いろんなことができますよ。ワーミングクランクもできるし、中層の魚も拾えるし、ウィードに当てて浮かせてとか。思い当たるシチュエーションを全部試したんですけど、どんな使い方でも魚を連れてきてくれました。唯一、できないのは急潜行クランクの使い方くらいですね。ショートキャストでウイードに急潜行でコンタクトさせるのは、他のルアーにお任せします(笑)。アベンジクランク400は、長い距離を投げて、広く拾っていくディープクランクなんです」
カラーラインナップは全8色。
#1 メッキハス
#2 オーロラギル
#3 メロンチャート
#4 クリアレッド
#5 クロキン
#6 ブルーバックチャート
#7 ホットタイガー
#8 バニッシュクロー
「メッキハスはベイトにハスが絡んでいるときに強いので使いやすいかなと。オーロラギルはクリアのパール系。クリア~ささ濁りでいいですね、水が濁ったときは、ホットタイガー、ブルーバックチャート、バニッシュクロー。朝とか夕方はクロキン。春のクリアウォーター化した水に強いのはクリアレッド。メロンチャートは冬に使うことが多くて、小バスとか小ギルは冬になってくると体色が白くなってきます。なのでメロンチャートの白っぽいカラーが冬場は効きやすくなるんです」
フックは、われわれが誇るRB-Mをセット。
「ナノスムース・コートが掛かってますし、刺さりはヤバいですよね(笑)。だから、ホントにパッケージから出してそのままお使いいただけるんですけど、ただアイのスプリットリングはわざと装着していません。スナップ派、スプリットリング派、それぞれお好みのものをセットしていただければと思います。いずれにしてもアイが曲がらないように、ていねいにセットしてくださいね」
アベンジクランク400に最適なロッドは?
「ディープクランクのタックルセレクトって、本来は結構シビアなんですが、アベンジクランク400はMH、Hあたりなら、比較的、どんな竿にも適合すると思います。もちろんラグゼをお使いいただけると嬉しいなと(笑)。ラグゼでいうと、アベンジのB70MHとB70H、イフリートのB70Hがベストマッチですね。冬はウィードにパンと当てて、リアクションで食わせたりもするので、イフリートがベストですね。
イフリートは、振った感じはシャキッとしているけど、魚が掛かったら曲がるっていう不思議なロッドなんですよ。ウィードに当ててリアクションを掛けて、ファイトは柔らかくいなせるんです。アベンジで同じ使い方をするならB70H。ウィードが高く生えているところで、ソフトに当てつつほぐしつつ使うときはアベンジのB70MHが一番使いやすいと思います。リールもディープクランクといえばハイトルクのローギヤモデルが相場ですが、引き抵抗が軽いからノーマルギアでもOKです。タックルセレクトの幅が広がりましたよね」