久保野孝太郎「ウキフカセ秘伝」

久保野孝太郎(くぼの・こうたろう)

 1969 年生まれ。西湘・江ノ浦にある『小田原マリンターミナル』店主。関東勢としては初のG杯グレ優勝のほか、G杯チヌでも準優勝とトーナメントシーンで輝かしい戦績を残し、全国の磯を舞台に活躍。がまかつフィールドテスター。

久保野孝太郎「ウキフカセ秘伝」

「長さ」の選び方って?

無難なのは5.3m!長短で性格激変!?

号数と同じくらい竿選びで重要なのが、長さです。ウキフカセ釣りで使用する磯竿はおおむね全長が5mほど。海の陸っぱりから楽しむ釣りにおいてその長さは際立っており、入門者にはその扱いが最初の障害となります。それだけ長い竿が求められる理由としては、①扱う仕掛けが長い、②障害物をかわし、引きを吸収しながら魚を寄せなければならない、という2つが主なものと言えます。

私がウキフカセ釣りを始めた頃は、磯竿と言えば5.4m(5.3mも)が普通で、他の選択肢は6.3mか4.5m。これはかつて用いられていた長さの単位「尺(約30㎝)」の名残で、なかでも15尺、18尺、21尺が多用されたことに起因するようです。

では現在はどうかと言うと、メーカーによっても異なりますが、依然として主流は5.3m前後です。全国的にこの長さで過不足を感じることはありませんから、入門者にもおすすめできます。また、『がまかつ』製の磯竿で言えば5.0mと4.7mと短めの選択肢が用意されており、取り回しの良さや操作性を重視する釣り人に選ばれています。パワーのない女性や子供にとって、その軽さも大きな魅力です。

一方で、長い竿ほどパワーがあり、磯周りの海藻帯やオーバーハングしたハエ根をかわしやすい特徴があります。ただ、長くなるほど竿自体が重くなるのも事実。ゆえに近年は極端に長い竿はあまり見かけません。そういった意味でも5.3mは無難なのです。下図や解説等も参考にして、自分に合った長さを探してください。

久保野孝太郎「ウキフカセ秘伝」画像8

号数ほど多様ではないものの、同じ銘柄の竿でも長さの選択肢が複数あることもしばしば。長短によるメリットとデメリットはどちらもあるので、その特徴を理解して最適の長さを選ぼう

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足場が高かったり、長い仕掛けで深場をじっくり狙うような場所は短竿には不利。5.3m以上の竿が必要

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背後に切り立った崖が迫るような場所では短竿のほうが扱いやすい。中間尺の5m が活躍するフィールドと言える

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海面が近く、足下近くに障害物が少ない釣り場や堤防周り、腕力の弱い女性や子供には短めの4.7m がおすすめ

この記事は磯・投げ情報7月号の記事を再編集し掲載しております。