久保野孝太郎「ウキフカセ秘伝」

久保野孝太郎(くぼの・こうたろう)

1969 年生まれ。がまかつフィールドテスター。関東勢初のG 杯グレ優勝を果たしたほか、G 杯チヌでも準優勝とトーナメントシーンで輝かしい戦績を残し、全国の磯を舞台に活躍。

久保野孝太郎「ウキフカセ秘伝」

西湘・江ノ浦港③

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それまでコッパグレが続いていたにも関わらず、いいアタリを出して唐突にハリ掛かりしたスズメダイに思わず苦笑い。このときはガッカリしたが、振り返ってみると後に起こるドラマの前触れだった可能性も……

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ウキを替えずにガン玉を打ったり、ウキのサイズを小さくして表層流の影響を最小限に抑えるなど色々と工夫しながら釣っていましたが、グレのサイズはいっこうに上向きませんでした。そこで、よりスムーズにウキの頭を押さえて下の流れに乗せられるよう、ウキのすぐ上にウキ止めを付けてみました。些細な変更ですが、この1本の糸が果たす効果は絶大。ウキの中を通って抜けていく糸の動きが止まるため、エサの重みや抵抗がウキに乗ってガン玉を打つのと同じような効果が期待できます。この策のよいところは、仕掛け全体の重量は変わらないこと。それでいて付けエサの重みと抵抗が効率よくウキへ乗るため、流れ落ちるマキエの帯から付けエサが外れにくいというメリットがあります。特に今回のようにスレ気味の魚を相手にする場合、不自然な動きをするエサは確実に見切られます。そんな状況では小さなガン玉ですら致命傷になるのです。この変更でイイ感じに仕掛けがなじみ、その結果、うれしいドラマが起こりました。

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「イイ感じになじんでいってるね〜」とニヤニヤしながら仕掛けを入れ込んでいたところ、それまでにはない重々しい引きの魚が掛かった。やがて浮いてきたのは縞模様が美しいチヌ! 細仕掛けをいたわりながら玉網へと誘ってホッとひと息。「まさかコイツが釣れちゃうとは……。やっちゃったなぁ」